「心臓病で死なない世界を作りたい」
そんな思いから生まれた“心臓のばんそうこう”をご存じでしょうか?
機能が低下した心臓にペタッと貼るだけで心臓病が治る!?
まるで夢のような話ですが、調べてみるとこの治療法を選択できる未来が、すぐそこまで来ていることがわかりました。

生き物のように拍動する“ばんそうこう”

“心臓のばんそうこう”を求め、THE TIME,マーケティング部が向かったのは大阪大学。

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「どうぞ、どんどん見て下さい」

研究室を案内してくれたのは、“心臓のばんそうこう”の開発者で心臓医療の世界的権威である澤芳樹先生。冷蔵庫から取り出した物体に、取材スタッフは驚きました。

取材班:「ピクンピクンって動いてますけど…」
澤先生:「これがiPS細胞から作ったiPS心筋シートですね」

小さな容器の中で丸いシートが、心臓の鼓動を刻むように動いていたのです。
一体なぜ、シートが勝手に心臓のように動くのでしょうか?

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「これはみなさんの心臓と同じ構造の細胞をiPS細胞から作ってシート状に作り出している。(心臓と)同じ種類の細胞で同じメカニズムで動いている」

心臓病で死なない世界を作りたい

“心臓のばんそうこう”心筋シートは、世界で初めてiPS細胞の作製に成功しノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥教授と澤先生が協力し、10年以上の歳月をかけて作られました。

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「心臓病では死なない世界を作る、それが目標です。心不全はこれからパンデミックと言われていて、日本では死亡原因は2位ですけど、欧米諸国では1位が心疾患。世界の人を救うにはそれしかない」

世界の人を救おうとする心筋シート。どんな技術が詰まっているのでしょうか?

山中教授が開発したiPS細胞は、からだの様々な部分になる能力を持つ細胞です。
まず、脚から取り出した細胞を使ってiPS細胞を作ります。
それを培養して増やし、心臓の筋肉細胞に変化させます。
最後に出来上がった心臓の細胞 3000万個をシート状に。

心筋シートは、心臓と同じはたらきをもつため体温に近い温度になると心臓のように自然と動き出すのです。

最新技術が詰まった心筋シート。どのように使うのでしょうか?

大阪大学 澤芳樹 名誉教授
「心臓には、心筋梗塞とかで弱っている部分があるんですね。胸を開いて心臓の上に貼り付ける」

心臓に貼り付ける。
そこに“心臓のばんそうこう”とも呼ばれる理由がありました。