政策活動費の10年後公開で黒塗り“あり得ない” 今から公開進めるべき

ー政策活動費については10年後に公開ということになった。領収書が公開されたときに一部黒塗りなんじゃないかという批判が野党から出ているが、公開のあり方についてはどうあるべきか

まず10年後というのは維新案で、実は10年後というのは、私も実務者としてこのお題目をいただきましたときには、さすがに規正法の理念、透明化するということ、この範囲を超えるものではないですけれども、ちょっと中心から外れているので、「ん?」とは思いました。
ただそれは範疇であるので、かつ10年後に公開されるとしても、使う方にとっては一定の抑止力が効くはずなんですよね。だからそれはそれで1つあるだろうと思いました。
黒塗りについては、私はおおよそあり得ないと思います。
それはやっぱり10年経って公開で支障が生じる恐れというのは、ほとんど考えにくいですよね、実態的に。

ただ1つ言えるのが、例えば今回、別の再発防止のパートでオンライン公開について、プライバシーに配慮してマスキングを一部するという案が取り入れられていますけれども、これは明確に政治参加者側の、国民の皆さん側のプライバシー配慮のためにもっぱら公明党さんからいただいた案でありました。この視点はやっぱり重要になってくるんだと思うんです。
オンライン公開で全世界中の人が、どの政治家を応援していて、どの政党を応援していて、どの政党からよく調達をする、されるのかというのがわかってしまうというのは、やはり民主主義の構図としては、政治が世の中から浮いてしまう結果を生みますから。
そういうのは避けるべきだと思いますけど、オンラインではないものの公開において、全部黒塗りになっています、みたいなのは私もおおよそ考えられないとは思います。

ただどのような議論になるのか、まだこの部分は全く深い議論をしておりません。案がぽんと維新さんから出てきて、それをわれわれが採用させていただいたという結果になっておりますので、まず維新さんがどのように考えるのかということが重要になってくると思います。

ーオンライン公開でないものに関しては10年後公開するときにプライバシー配慮の観点で黒塗りにする必要があるものは出てこないと

私自身は政策活動費の部分については、基本的には今あるものをなるべく通常の政治活動として通常公開の努力をするべきだと思うんですよ。どんなものがあるかと私もつぶさに全部把握をしてるわけでは実はないわけです。幹部のみが党から支給されて、という構図ですから。
ただ努力をしないで議論するのはあり得ない話だと思いますので、少なくとも出していく。
政策活動費から出していって、その上で何が残るのか、ここが1番ポイントだと思うんです。われわれが知らない領域について、今この時点で絶対ありえないから今の時点ですぐに制度を作る、ということは私は控えるべきだと思いますが、少なくともおおよそ常識感からしたら10年経って、公開で支障が出るというのは私は考えられないと思っています。

ー今回の法改正で、資金配分の権限を持っている幹事長は使い道を項目ごとに示すことになる。一方、幹事長から資金を配分された議員側が使い道を公開する必要性については

これはもうやる。公開10年後の制度ですけれども、これは答弁している通りやるんですよ。出すんですけど、どこまで出すんですかというのが、実務の観点ではどう規定するのかが難しい。
何を言っているかというと、例えば幹事長から私に渡されました、これは使途を出しますよね。
私が例えば調査会社に農地の保全に関しての調査依頼をどこかの調査会社に出しましたと。それは使途が出てきますよね。
調査会社が例えば1人の大学の先生に再調査をかけましたと、ここまで使途公開をやるんですかと。
大学の先生が学生を、アルバイトを使って3人雇いました。それで全国各地の農地に調査に行きました、ここまで出すんですかと。それは多分違うんだと思うんです。
ですからどこまでやるんですかというのはやっぱり議論が必要なんだと思っています。要はポイントは、なるほどと思っていただくことなんですね。

今回1つ思ってることが、お金のかからない政治を目指すべきなのは当然だと思うんです。
けれども、お金のかからないということは、政治家の不正とかそういうのはいったん、忘れていただいて。単純に政治資金と、それから民主主義ということを考えたときに、お金をかけない政治というのは何を意味するかというと、さっき言った調査とかをなるべくしないようにするわけです。スタッフもなるべく最小限で。
そうすると、国民の皆さんからちょっと離れてしまうんですよね、活動しないということですから。そうなると何が起こるかというと、長期目線の政策、戦略的なと言ってもいいかもしれないけど外交安全保障、憲法、そういったものに注力するようになると思うんです。

ところがその一方で、より活動するという意味ではいろんな意見を聞きますから、どちらかというと生活に密着したような、明日の政治ですよね。
今日の政治、明日の政治、ここを目指すようになるんだと思うんですけど、これ私バランスが結構重要だと思っていて。
皆が明日の生活の政治をしたら、おそらくこの国はまともなことにならないですし、長期軸の政治ばかりしていたのでは、これもおおよそまともな国にならないと思うんですよ。
だから政治資金というのはそういったものをあわせて考えて、適切なやり方をしないといけないのだと思うんです。