緊迫する台湾情勢…蔡英文総統「統一でもなく独立でもなく現状維持」

「台湾情勢が緊迫していて、特にアメリカと中国が台湾を巡って対立しています。日本への影響は大変気になるところですね。緊張する両岸関係にあります。台湾海峡を巡る対立というわけです。そして、中国・習近平国家主席は『台湾は中国の一部である』『対話について何か言うのは内政干渉である』『余計なことは言うな』『自分の国の問題だ』というのが中国の立場です。一方で台湾の蔡英文総統は元々は民進党という野党だったんですね。民進党は『台湾は中国とは違うんだ』『台湾共和国として独立すべきなんだ』という考え方はそもそも持っていたんですけど、それをそのまま総統になった時に主張すると本当に中国との関係が悪くなるので、ここはあいまいな言い方しているんです。『統一でもなく独立でもなく現状維持』が蔡英文総統の立場ということですね」
ーーーアメリカのペロシ下院議長が台湾を電撃訪問して蔡英文総統と会談をしました。なぜ中国はこれに対して怒っているのでしょうか?
「アメリカの下院議長というのは議会のトップと思ってしまいますが、実は大統領継承順位というのがあるんですね。大統領にもしものことがあったら副大統領、その次に何かあれば下院の議長ということになるんですね。だからナンバー3であると同時に大統領継承順位でいうとナンバー2になるんですね。そんなアメリカのトップクラスの人がなぜ台湾に来るんだと。元々中国は台湾は中国の一部だよと言って、アメリカもそれには反対しないと言っていたじゃないか、それなのになぜ来るんだということで怒ってるんですね」
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「あとは一番大きいのはタイミングです。習近平国家主席にしてみれば顔に泥を塗られたという思いがあるんですね。どういうことかと言いますと、中国では『北戴河会議』というのがあるんですね。北戴河は中国北東部の避暑地です。ここに毎年、中国共産党の長老たちが集まって、党の方針や人事などを話し合うということなんですね。中国共産党の長老たち、例えば習近平氏は中国共産党のトップの総書記ですけど、それより前に総書記だった実力者がいるわけですよね。そういう実力者に、今後こういうことがやりたいですがよろしいでしょうか、とお伺いを立てる会議なんですよ。すごく偉い人たちなんですね。例えば株式会社で言うと、社長や会長を退任した後も相談役で残っている人たちがいるわけでしょう、そうすると社長が例えば、『次に専務取締役や常務取締役をこういう人にしたいんですけどいいでしょうか』と相談役にお伺いを立てる。実はそういう社会はやっぱりあるんですね。やっぱりアジアは長老にお伺いを立てるというのがあるわけですね。そして会議に行った参加メンバーが実は謎なんですよ。外国人記者が北戴河に行こうとすると追い返されるんですよ。コロナ対策という理屈で追い返されてしまい全然取材ができないんですね。ここで何が行われるかというと、実は習近平国家主席は共産党トップの総書記でもあります。これまでは連続2期で退任するはずが、どうも3期目を何とかやりたいと思ってるわけですね。その時に3期目をやりたいけどいいですかと長老たちからお墨付きを得たいわけですね。そういう意味では非常に大事な会議だというわけですけど。ここからははっきりとはわかりませんが、例えばペロシ議長が来たということになると、多分長老たちが習近平総書記に対して『お前なめられてんじゃないの?』『なんでアメリカの下院議長が来るのを阻止できなかったんだ』と言われるんじゃないか。例えばアメリカのバイデン大統領にしてみれば、三権分立で大統領は行政のトップだし、ペロシさんは下院ですから立法府で、立法府のことについては口を出せません。アメリカの三権分立でいえばそうなんですけど、中国は三権分立を理解できないわけですね。習近平国家主席や共産党のトップがこうしろと言ったらみんなそれに従う。だからバイデン大統領がやめろと言えばよかったのになぜそれができないと。バイデン大統領にしてみれば、三権分立だから議会のことなんか口が出せませんということですけど。それが中国共産党の長老たちにしてみれば、なぜバイデン大統領にやらせなかったんだ習近平お前なめられてるんじゃないのと、言われかねないわけですよね。よりによってこんな時に来たのかという思いで、本当にメンツを潰されて顔に泥を塗られたんだから怒っているんだぞということを示すために、非常に挑発的な軍事演習をやって怒りを見せたということだと思うんですね」














