僅差の大統領選 「第三勢力」がカギを握る理由
過去には「第三勢力」が大統領選挙に影響をもたらしたことがある。1992年には実業家のロス・ペロー氏が全体の19%ほどの票を獲得。保守派の支持が割れたことで、当時のジョージ・H・W・ブッシュ大統領(共和党)はビル・クリントン氏(民主党)に敗れ、再選を果たすことができなかった。

また、2000年には消費者運動の旗手と呼ばれたラルフ・ネーダー氏がリベラル層の一部の票を奪い、アル・ゴア候補(民主党)が、ジョージ・W・ブッシュ候補(共和党)に惜敗する一因にもなった。ゴア候補はフロリダ州でブッシュ候補にわずか537票差で敗れ、大統領の座を逃すことになったが、この時ネーダー氏がフロリダ州で獲得した票は約9万7000票(得票率1.63%)に上っていた。アメリカの大統領選の仕組み上、「第三勢力」の候補が勝利する可能性はゼロだが、わずかな得票でも大統領選挙の結果を左右することがあるのだ。
トランプ氏がリバタリアン党の党大会に乗り込んでまで支持を訴えた背景には、バイデン大統領との支持率が拮抗している現状がある。リアル・クリア・ポリティクスがまとめた世論調査の平均(5月6日~23日)では、トランプ氏の支持率が47.1%・バイデン氏が46.2%と互角の情勢が続いている。11月の大統領選挙はわずかな票差で勝負が決まる可能性が高く、「第三勢力」の動向が勝敗の行方を左右しかねない。