ラジオからテレビの世界へ ― 視聴者に親しまれるのは、はげ、でぶ、眼鏡
隈部 昭和28年にはテレビの放送が始まりますね。ラジオからテレビに変わったっていうことで、アナウンサーとしてギャップみたいなものをお感じになったことはありましたか。
鈴木 テレビが始まる前はですね。アナウンサーの間で、アメリカの情報をいろいろまとめて聞くと、あまりの美男美女が出ていて、視聴者が顔ばっかり見てて情報が伝わらないらしいと。
隈部 ほお。
鈴木 ええ。そういう話だったんですよ。それで私は、ああ、自分はテレビ向きじゃないんだなと思ってたんですよ。そしたら、テレビが始まったら今度は、良いのは視聴者に親しみのある人だと。で、その条件はなんだっつったら、はげ、でぶ、眼鏡だっていうわけですよ。
隈部 うん。
鈴木 そう、私はそこでやっとですね、自分がテレビ向きだって分かって。テレビが出来てから何年経ちますか、六十何年経ちますか、七十年経ちますか※。(※この収録は2011年4月なので、日本でテレビができてから58年)
隈部 うん。
鈴木 ええ。NHKと民放を通じて、この三つの条件を完璧にそなえてるのは不肖私一人だけだったらしいですね。
隈部 ああ。
鈴木 今でも。
隈部 うん。
鈴木 はい。ですからもう三位一体、神のごとき存在で。在職当時はNHKの重要無形文化財と言われておりました。
隈部 はげで、眼鏡で。
鈴木 でぶです。















