人口減少下でのSNSの可能性

このように、視野を狭めてしまいがちなSNSであるが、先にも述べたように、上手に使いこなすことができれば地域にいろんな可能性をもたらすことも可能であろう。例えば、SNSがもつフォローという機能は、日常的なコミュニケーションを個別に取らずとも、それぞれの活動状況を理解することが出来る。

特に今日のように人々の流動性が高まっている中では、地域は少しでも人手がほしい。これまでのように、地域に居住する人々では高齢化の進展もあり、地域の維持管理が難しくなっており、ここで大きな期待を寄せられているのが、「観光以上、定住未満」とも言われる「関係人口」である。関係人口は地域に住んでいなくとも地域に貢献してくれる人材を指すが、こうした人材とどのようにつながるか、地域の状況をどう伝えていくかに、SNSは大いに役立つと思われる。

というのも、SNSによるフォローはかつて、疎遠になった人とも続いていた年賀状のような意味合いもあると考えられるからだ。発信する側は日常を投稿しているが、フォローという仕組みは年賀状のような細く長い関係づくりに寄与している。実際に、SNSでフォローすることで、直接的なコミュニケーションを取らずともそれぞれの近況を把握することは可能である。

このような仕組みは、地域や地域で暮らす人々の日常を外部で地域のことを気にしている関係人口にとって有効であろう。SNSがなければおそらく定期的に情報誌を印刷・送付するなど関係の維持に一定以上の労力が必要であるが、SNSは身近な人への発信のつもりで投稿するものが、フォロワーに広く広がっていき、さらに公開範囲の設定によっては更に広がっていくことも可能である。