SNSによる多様な人々との接続
では、SNSというのはこれに慣れていない地域にとって不適切なツールなのか、というとそうとは限らない。
もともと人口が少なく、閉塞感を抱えている地域にも様々な人が住んでいて、それぞれが自分自身の生活をより豊かなものへとすべく様々な取り組みをしている、という点では都市も地方も同じである。ただ、都市と違い、地方ではなかなか人と出会えない、というデメリットがあった。
というのも、地域コミュニティも地縁型のコミュニティが中心であり、人口の少なさからそれ以外のコミュティとの接点がそもそも少なく、自分の趣味や考え方の合う人と出会う機会が稀であった。
一方の都市部の人口規模は多様な価値観を持つテーマ型コミュニティも内包している。故に、巨大な人口を抱える都市の特性として、コミュニティの多様性があり、この多様なコミュニティの存在が多くの人たちにとっての“居場所”を作り出してきた。
つまり、人口が多いということは多様な人々にとって、それぞれの居場所を見つけやすい社会であることを意味する。一方の地方、特に人口の少ない過疎地域では規模が小さい故に多様なコミュニティが生まれにくい状況にあった。
今日の社会では「価値観の多様化」が様々な場面で尊重されるべきものとして言われている。ジェンダーや性的指向性に限らず、趣味や仕事にいたるまで様々なことが多様化していることがいわば「社会の豊かさ」を創り出している。
では、このような豊かさを得ることは人口が少ない地域では難しいのか、という問題に一つの活路を創り出したのがSNSとも言えるだろう。一般の人々が発信し、ハッシュタグと呼ばれるキーワードでの検索も可能であることから、これまでつながることが出来なかった人々がSNSを介してつながり、地縁型コミュニティの枠を超えた交流や協働が生まれてきた。
特に地方の社会人であれば一人1台車を所有しているので、フットワークも軽い。結果的に、地域を超えてテーマ型のつながりは広がっている。つまり、SNSはこれまで繋がり得なかった人たちを接続させる役割を果たしたと言えるだろう。