「頭の中でフラッシュバックはします…」未だに晴れない心

その衝撃は大きく、一冬を越したあとも立田さんの心に影を落としていました。
立田龍宝さん(39)
「頭の中でフラッシュバックはします。あのことがなければ、もう一台いつものように作れて、いつものスケジュールでねぶた小屋に入れて…。と頭の中をよぎったりするけど、どうもできないので…」

失意の立田さんのもとに舞い込んだ仕事が、絆まつりの作品制作でした。題材に選んだのは自身の原点である、ねぶた師としてのデビュー作『古事記』に登場する英雄「倭建命(やまとたけるのみこと)」です。

立田龍宝さん(39)
「デビュー10年経って、11年目に大型ねぶたではないですけど、皆さんの目に触れる新たなスタートを表現できれば―」
制作では、デビュー作を再現するのではなく、随所に新たな表現を加えています。なかでも異なるのは、ねぶたの迫力を大きく左右する墨で身体の輪郭を描く「書き割り」です。