石川県七尾市出身で、大卒の力士として唯一横綱昇進を果たしている輪島は、1972年(昭和47年)に新小結になり、10勝5敗の成績で殊勲賞を獲得する活躍を見せました。大の里はこれを超える活躍で、見事初優勝を果たしました。

「黄金の左」で横綱まで上り詰めた輪島

輪島は、左を差してから右から強烈に絞り下手投げを決める相撲を得意としていました。「黄金の左」と表現される下手からの攻めでしたが、大の里は右差しから勝機を見出す相撲が夏場所では目立ちました。輪島とは左右が逆、「黄金の右」と呼べるような相撲に磨きがかかっています。

夏場所で横綱や大関に勝った相撲は、この「黄金の右」がいかんなく発揮されていました。ただ、千秋楽の阿炎戦が顕著でしたが、左からのおっつけなど、右だけに頼らない技能相撲も、大の里の強さの特徴といえそうです。

来場所以降は、対戦する力士も大の里の右からの攻めをいかに攻略するか研究するに違いありません。

大の里としては、突き押し相撲をさらに磨くことはもちろんでしょうが、「黄金の右」をいかに確実なものにしていくか。近い将来に大関昇進がかかる中、来場所以降注目したいポイントです。