パニックにならず正しく理解を
この臨時情報の運用開始から5年。津波で8000人を超える犠牲者が想定される佐伯市で取材しましたが、市民への理解は進んでいませんでした。
――臨時情報って聞いたことありますか?
住民「臨時情報ですか?聞いたことないです」「臨時情報…聞いたことないですね」「地震に対してはもちろん危機感はあります」
内閣府が昨年度、津波想定地域の住民を対象に行ったアンケート調査では、南海トラフ臨時情報について「知っている」と答えた人は28.7%にとどまりました。

佐伯市は2021年10月に南海トラフ地震臨時情報が出た際の対応方針をまとめています。
佐伯市危機管理課 武石康磨課長:
「臨時情報については事前に避難する必要がある方には自主避難や事前避難をしてもらう」
事前避難が必要となるのはマグニチュード8以上の地震が発生し、東側または西側いずれかが動くいわゆる「半割れ」のケースで、「巨大地震警戒」が出た場合です。

佐伯市は地震から30分以内に30センチ以上の津波の可能性がある地域のうち、後発地震発生後の避難では間に合わないおそれがある蒲江全域、米水津全域、鶴見の一部地域を事前避難対象地域として避難指示などを発令し、避難を継続させます。対象者は高齢者などの要配慮者360人です。
2021年には集団での事前避難の訓練を実施していて、市は今後も訓練などを通じて臨時情報の周知を図ることにしています。
佐伯市危機管理課 武石康磨課長:
「情報の周知、訓練の実施などを予定しながらみなさんに周知していこうと考えています」
一方、「巨大地震注意」が出た場合、国は「1週間程度日ごろの備えの再確認と地震に注意しながら通常の生活を送る」ことを呼びかけることにしていて、臨時情報を正しく理解しておくことが重要です。
京都大学防災研究所宮崎観測所 山下裕亮助教:
「南海トラフ地震はいずれ必ず起こりますので、その時に向け臨時情報という仕組みがあるので、それを聞いてパニックにならないようにしっかり正しく理解しておくことが重要だと思います」
まだ一度も出ていない南海トラフ地震臨時情報。万一の際の適切な行動につなげるため、認知度を高めることが急がれています。