■「これから先、何年生きられるかな」 駐車違反で再び収監 


私たちは仮釈放されたものの、再び収監された無期懲役囚の存在を知った。仮釈放後、駐車違反などで再び収監され34年間服役している無期懲役囚がいた。 

ーーまた無期懲役で収監されるときは、ショックじゃなかったですか?


78歳 再収監 34年服役
「だいぶショックでした。駐車違反くらいは大丈夫やろなと思っていた。その自分の考え方が浅はかだったんですけど。これから先、何年生きられるかなぁって」

ーーここで終わる覚悟はできてるんですか?

78歳 再収監 34年服役
「はい、できています」

ギャンブル中毒で強盗殺人事件を起こした無期懲役囚が仮釈放後“遵守事項”に違反して競艇場に出入りしていることが発覚、再び収監されたケースもある。

■逃れようのない“後悔”と“生”への執念 死刑を免れた男たちの葛藤 


出所者が一時身を寄せる更生保護施設 古松園。1897年、後に総理大臣になる犬養毅らが設立、岡山市長が歴代の理事長を務める。岩戸顕園長は少年院の元教官、保護司でもある。仮釈放後面倒を見た無期懲役囚は約30人。今も服役中の50人の身元引受人になっている。古松園の定員は20人。6人が無期懲役囚だった時期もある。


古松園 岩戸 顕 園長
「あそこ(古松園)は犯罪に関わった人がおるところということは知ってますわね。まさか岡山刑務所から無期がいっぱい来てるというのは知りませんわ」

ーーどこかに行ってくれないかという話になりませんか?

古松園 岩戸 顕 園長
「役員も町内会の人も入ってますからね」

“礼拝堂”には無期懲役囚達の位牌が納められている。仮釈放後、時を置かずに死亡するケースも少なくない。


ーー(死因は)ストレスとか人間関係からくる?

古松園 岩戸 顕 園長
「対人関係しかないですからね刑務所では。この方は胃がんだったんですね」

岩戸園長は犯罪記録を見る度にやりきれない気持ちに襲われるという。

古松園 岩戸 顕 園長
「もう生きたままドラム缶に入れて、コンクリート詰めにしたりとかですね。普通では考えられないですよ。強盗に入って、金盗って見つかったから殺したんです。被害者に何の落ち度もない」

ーー厳しいですね遵守事項というのは


古松園 岩戸 顕 園長
「そのための遵守事項で、無期についてはそれは徹底しますね。(遵守事項に違反し、再び収監されたら)もう出られないでしょうね多分。出さないですわ。せっかく無期で出したのにということですね」

全国の無期懲役囚は1750人。仮釈放の平均刑期は38年近くに及び“終身刑化”している。仮釈放の目処が立たない厳しい現実を元少年刑務所長はこうよんでいる。

『無期刑の子の年金、開始をしらせむと面会票書く父親卒寿なり』


逃れようのない“後悔”と“生への執念”。死刑を免れた男たちの葛藤が続く。

ーーだけどなんでまたここで身元を引き受けるんですか?

古松園 岩戸 顕 園長
「彼らが出るのであれば、いっぺんは人間らしい生活に戻してあげてね。自分の心が目覚めることをさせてあげればいいかなぁ」

(報道特集 2022年7月30日放送)
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