■語らない、語れない祖父を理解したい気持ちが…

近藤さん:
「語り継いでいる人と話をしていると、その人たちもつらい思いをしているけど、それが使命なんじゃないかと考え方をされている人も多くて、私もそういう考えに近いのかなと思います」「理解したいという気持ちが強い。語らない、語れない祖父とかを見ているから、それを理解したいという気持ちが使命感につながっているのかもしれないです」


広島県出身の近藤さん。祖父が被爆者で、幼いころから授業などで空襲について学んできました。しかし、家族で戦争が話題にあがっても祖父は自身の経験を語ろうとしなかったといいます。


被爆3世の近藤さんがおよそ半年間かけてまとめた5万6000字の論文。富山大空襲があまり知られていない理由として、空襲経験者が年々減少していることや、語り継ぐ会の発足が遅れたことなどが影響したと考察しました。そして最後に「語れなかった」経験者の姿こそ、次世代の語り部が伝えていくべきだと締めくくりました。


そして卒業間近の3月。
半年間ともに活動を続けた『富山大空襲を語り継ぐ会』の会合で、卒業論文を発表しました。


近藤さん(講演):
「広島と比べて富山の場合は、もしかして空襲を自分ごととして考える人が少ないのかなと思いました。富山県で富山大空襲について学ばないのはなぜかと教育委員会に聞いた際に、家庭によっては被害にあっている親族がいるから、つらい思いをさせたくないのではないかと話す人もいました。一方では富山県は多くの学校が広島だったり、長崎だったり修学旅行に行く学校がすごく多いです。こうしたことから、戦争とか空襲も少なからず他人事にしておきたいという気持ちも少しは働いているのではないかと思いました」










近藤さん:
「自分なりに向き合ったことを発表できた場だったので、それはよかったと思います。これからも考え続けていきたいと思っていて、もし発信する機会があったら、同じ世代の人たちにも戦争とか平和について考えてもらえたらいいのかなと思っています」



近藤さんは2022年4月、東京の映像制作会社に入り社会人としての一歩をスタートさせました。今後はどういった形で空襲に関わっていくかはわかりませんが『自分から発信していくことを大事にしていきたい』と記憶をつなぐ決意を語ってくれました。