健康被害の報告が複数あるも・・・小林製薬「これまでに同様の報告ない」

小林製薬は健康被害をいつ把握したのか。

小林製薬が健康被害を公表し、製品の自主回収を発表したのが3月22日。

しかし、摂取した人から最初に異変の報告を受けたのは、2024年1月11日、公表の2か月以上前だった。その4日後には医師からの連絡で、2人目の症例が判明。

2月1日には別の医師からも連絡があり、その後、公表まであわせて13人の症例について報告や問い合わせを受けていたという。

私たちは、小林製薬に連絡した医師の1人を訪ねた。

2月1日に合わせて3人の症例を小林製薬に伝えていた日本大学医学部の阿部医師。

2023年12月から2024年2月にかけて、サプリを飲んでいた3人の患者を診察した。

3人とも、腎臓の疾患により、尿に過剰なタンパクが排出されることで起きる「尿の泡立ち」がみられたという。

日本大学医学部 阿部雅紀医師
「紅麹のサプリを内服していたということが3人とも共通していましたので、過去にサプリで腎障害の事象がなかったかどうかという問い合わせを(小林製薬に)しました」

この時点で小林製薬には、摂取した人や医師から複数の報告が上がっていたが、小林製薬は阿部医師に対し「これまでに同様の報告はない」と回答したという。

ところがその後、連絡があり、2月22日に小林製薬が3人の病理検査の結果を聞きに来たと話す。

阿部医師
「薬剤性で生じるような、『尿細管間質性腎炎』の所見と説明させていただきましたので、2月22日の時点で、紅麹サプリの可能性が高いのではないか、我々もそして会社側も判断したのではないかなと」

Aさんが入院し、治療を始めたのは1月26日。

サプリが問題だと小林製薬の公表で知った。入院から約2か月が経過していた。

Aさん
「びっくりしました。これがやっぱり原因だったのかと」

——小林製薬の対応の遅さも問題だと?

「(対応は)大変遅い。私もそこは怒っています、憤慨しています。最終的な原因が分からないのはわかります。ただ、そのような被害が出ているということは公表すべきだったんじゃないかと」

対応の遅れについて、小林社長は・・・

小林製薬 小林章浩社長
「もう少し早く公表できれば防げたかと言われたら、その批判に対しては、私ども、言葉もございません。原因物質の特定にとにかく研究部門急ぎ、取り組んでもらっておりました」

——(阿部医師に)「同様の情報はない」と回答されている。なぜそういう回答をされたのか?

小林製薬 渡邊淳 執行役員
「途中で出ている症状において、共通の何か要因からきているものという認識が、まだこの時点の調査ではなかった」

——1月に事例があったにも関わらず、隠蔽したのでは?

「それは意図はありません」