医師「最悪 心停止も」 増えるサプリによる健康被害の問い合わせ

都内のクリニックでも、サプリの健康被害の問い合わせが増えている。

サプリを摂取した後に腎臓の機能が低下した患者について、症状が悪化すれば死に至る可能性があったと伊藤医師は指摘する。

いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道 院長
「最悪、心停止を起こします。手遅れになると体のむくみが出てきて食欲不振、吐き気、微熱、呼吸困難など出てくるわけですけど、腎臓の機能が悪くなったときに有害になるカリウムが溜まってしまうと心臓が止まってしまうんですよね」

今年1月以降、伊藤医師のクリニックでは問題のサプリを摂取していた患者は6人。

医師は小林製薬に対し・・・

伊藤院長
「複数名の医療機関、医師からのこのサプリメントが原因の可能性があるとなった時点で、フレキシブルに迅速に対応していただけたほうがよかったかなと思いますね」

「プべルル酸」以外の物質が健康被害に影響した可能性も

小林製薬は「紅麹」の成分を含むサプリメントから本来想定していない「プベルル酸」を検出したと明らかにした。

だが、厚生労働省は「プベルル酸」が健康被害の原因となったかどうか調査中だとしている。

わたしたちは問題があると指摘された製品とそれ以外の製品を研究室に持ち込み、検証を依頼した。

協力してもらったのは、昭和大学薬学部の佐藤均教授だ。

製造番号H306は、腎臓疾患の症状が出たAさんが持っていたもの。亡くなった人が購入していたこともわかっている。

そして問題が報告されていない2022年に製造されたサプリ=製造番号A201を同じ条件で調べる。

分析機器にかけると、含まれる成分は波形になって示される。

佐藤均教授
「物質の性質の違いで分離する。出てきた順に(波形の)ピークが出てくる」

もし、2つのサプリの成分が同じであればピークの位置はほぼ同じになるのだが、問題がないサプリはピークの数値が300程度であったのに対し、問題がある方は1500以上まで跳ね上がった。

正確さを確認するため、3回繰り返した。その結果、Aさんが持っていたものの方が数値が高く出た。

佐藤教授
「要は含まれるものの量が、該当ロットの方が高い(多い)っていうことになると思います」

問題のサプリの方にはある成分が多く含まれることはわかったが、プべルル酸のサンプルがないためプべルル酸の特定はできない。

一方、佐藤教授は、プべルル酸以外の物質が健康被害に影響した可能性を指摘する。

紅麹の有効成分とされている「モナコリンK=ロバスタチン」という物質だ。実は海外で医薬品として使用されていて、副作用として腎機能障害が出ることが報告されている。

この物質が規制されず、日本でサプリとして販売された理由をこう語る。

佐藤教授
「本来ですと、医薬品として採用・認可されたものは、サプリメントとしては売れないんですね。もともと紅麹という昔から使われているものなので、そのまま通ってしまっているということで。本来ですと、最初からもっと注意しておくべき」

——入っている有効成分としては、薬と同じ?
「そう、薬と同じ」

——有効成分が同じってことは副作用も同じものが出てくる可能性が?
「もちろんです」