「このまま帰らせるわけにはいかない」「殺す」…恐怖と恥辱の2日間

2018年2月27日午前0時半ごろ、車は駐車場を出てしばらく走った後、山下被告が「仮眠を取る」と車を止めた。

山下被告が寝ている間に、天池被告は被害者の女性のカバンから、“立ちんぼ”の売上金2万円を抜き取った。

女性はその様子を寝たふりをして見ていたが、「盗みを指摘するとひどいことをされるかもと思い、黙っていることしかできなかった」と当時を振り返る。

そのうち、天池被告も寝始めたが、女性は音を立てずに逃げる自信もなく、2人に気づかれずに自分のカバンを回収することも難しいと思った。

土地勘のない場所で追いかけられたら、捕まって殺されてしまうかも…そう考えた女性は、車内で動けず、じっとしていることしかできなかった。

2人が目を覚ますと、再び車は走り出した。天池被告が「逃げるかもしれないから、縛っておいた方が良いんじゃない?」と言うと、山下被告は「そうだね」と同意し、結束バンドで女性の両手首を縛った。

ドライブスルーで食事を買いつつ、車は走り続け、愛知県東浦町のショッピングモールへ着いた。
山下被告から「きょうの夜になったら帰らせてあげるから、おとなしくしていて」と言われ、女性はその言葉を信じて耐えてきたが、その後、2人の行動はエスカレートしていく。

ショッピングモールの駐車場で、女性は山下被告に性的暴行を加えられたという。

さらには、車内でトイレをするよう要求された。女性は「トイレじゃないからいい」と抵抗したが、結束バンドで縛られた状態で四つん這いにされ、座薬を入れられた。

「痛い」「やめて」と女性が泣いてもやめることはなく、女性は車内で排泄させられた。

「本当に恥ずかしく、屈辱的でした」…そう女性は振り返った。

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外が暗くなり、約束通り帰れると信じていた女性に天池被告が見せてきたのは、天池被告と山下被告の2人のLINEでの会話だった。

そこには「このまま帰らせるわけにはいかない」「埋める」「殺す」、そんな言葉が並んでいた。

女性は泣きながら「このまま帰っても2人のことを通報するつもりはない」と伝えたが、女性が解放されることはなかった。

翌28日の午前9時10分ごろ、車は三重県伊賀市の道の駅に着いた。

女性は天池被告とともに車を降り、トイレへ行った。トイレの個室をすぐ出たところに天池被告がいたら…女子トイレの出口を山下被告が見張っているかも…そう考えると助けを求めることはできなかった。

監禁の罪に問われた内容としてはここで車を降りたところまでだが、女性はその後も被告らと行動をともにさせられていた。

車は、天池被告の友人がいる大阪に向かった。

天池被告の友人だという女性と合流し、4人で道頓堀を回ったという。

女性は、なんとか逃げられる瞬間はないかと思い、「ドンキに行きたい」と提案。

ふと後ろを見ると、山下被告はいなかった。

「逃げるのは今しかない」