「2人には一生刑務所にいてほしい…」被害女性の切なる願い

女性は店内3階のトイレに入った。

天池被告もついてきたが、女性が個室を出た時には、天池被告はまだ出てきていなかった。

女性は急いで店を出て、近くのコンビニで助けを求め、28日午後5時41分ごろ、警察に保護された。

調書の最後で、女性は2人の処罰について、こう望んだ。

「事件後しばらく仕事に行くことができず、暗い場所にいると当時のことを思い出して怖くなります。今回の事件のことが夢に出てくることもあります。2人には一生刑務所に入っていてほしいと思います」。

介護助手の女性の遺体発見現場

天池被告は2022年4月、女性に対する監禁事件で逮捕され、その際、殺人・死体遺棄についても自供。

翌日、天池被告の案内で、愛知県東浦町の畑から、介護助手の女性(発見当時40)の遺体が見つかった。

2024年2月29日、名古屋地裁で開かれた初公判で、天池被告はこの監禁・窃盗事件について起訴内容を認めた。

その後の裁判で、検察側は天池被告に殺人・死体遺棄の罪とあわせて、懲役18年を求刑した。

「男女2人がかりで、Aさん(被害女性)を約33時間の長時間にわたって車内等で監禁しており、Aさんの身体的自由に対する侵害の程度は大きく、Aさんに与えた苦痛や恐怖も大きい。監禁の始まりは、被告人がAさんの髪の毛を引っ張ったり、折りたたみナイフを突きつけるなど強い恐怖心を与える行為であった上、監禁中は、Aさんを結束バンドで縛ったり、ガムテープで口をふさぐという直接的に自由を奪うこともしており、犯行態様は悪質である。窃盗事件も、被害額は2万円と少なくない上、財産的な被害回復すら行われて折らず、軽視できない。Aさんは何ら落ち度なく被害に遭ったにもかかわらず、何らの弁償も行われていない。強い処罰感情を持っており、考慮されるべきである」(論告要旨より)

一方、弁護側は監禁・窃盗事件について、「被告人(天池被告)はAさんに対して強い恨みを抱いていたわけではなかった。被告人は山下の命令に従う従属的な地位で犯行に加担した。その後、山下はAさんを殺害するつもりであると被告人に連絡し、その意図を持たなかった被告人は驚いた。結果的にAさんの行方を見失って被告人はほっとした気持ちとなった」(弁論要旨より)と述べた。

名古屋地裁は3月15日、天池被告に懲役16年の判決を言い渡した。
監禁・窃盗事件については以下の通り。

「被告人は、A(被害女性)に対し、髪の毛を引っ張り、ナイフを突きつけ、結束バンドで腕を縛るなど、率先して暴行を加えており、殺人と比較しても、より主体的に犯行に関与している。これらの暴行のほか、口をガムテープでふさぎ、頭に布をかぶせるなどし、1日を超える長時間自動車内に監禁するという態様は、Aに多大な恐怖を与える悪質なものである。Aは、監禁されるいわれはないのに、いまだに事件を思い出して恐怖を感じており、結果は重い。加えて、被告人は、単独で、Aの財布から2万円を盗んでおり、この点も被告人に対する非難を強めている」(判決要旨より)