■「アップルに(パーツを)納めている日本の電子部品メーカーはとても潤ってます」


経済ジャーナリスト 井上久男氏
「これ言うと身も蓋もないですが、もうシェアで勝つことは100%無いです。でも日本には技術があるって言いましたけど、電池を作る時にセパレーターっていう中を仕切る部品がある。この素材なんか日本の企業が強い。例えばスマホでは日本企業は負けました。でも、アップルにパーツを納めている日本の電子部品メーカーはとても潤ってますよね。一般の人が知らないような会社でも株価が上がってとても儲かってる部品メーカー沢山あるんです。だから電池でも、大量生産競争は弱いですけど、技術は持ってます、部品は持ってます。肝を握っておく。台頭してきた外国に日本の技術や部品が無いとできないっていうようにしないと勝てない」


名古屋大学 佐藤登 客員教授
「ハイブリットの技術断トツなんです。ハイブリッドでは世界では日本に勝てない。なぜEVが日本で2万台しか売れないかというと、それは不便だから。だけどハイブリッドにはもう補助金がなくなりました。日本が巻き返そうとするなら…日本製の電池では25年間、公道での事故がないんです。中国やアメリカ事故が多発しています。こういう安全性のくくりを世界に訴求すべきなんです」

番組のニュース解説、堤氏によれば、電池のシェアだけ見ると中国・韓国が目立つが、電池関連のスタートアップ企業がアメリカにはたくさんあり、それぞれが特許を持ち新しいニーズにこたえようと躍進しているという。フォルクスワーゲンなどはそういうスタートアップ企業に投資することで次世代の電池市場に存在感を出している。日本も高度成長期とは違う発想で競争力を持たなければいけないのかもしれない。

■“地球のための”電池

電池に期待されるのは自動車産業だけではない。環境分野での活躍だ。自然エネルギーで作り出した電力は貯めなければ使い勝手が悪い。番組では洋上風力発電所から船の蓄電池に電気を貯め必要なところに行って送電することを目指しているベンチャー企業を取材した。

この会社では2025年に建造予定の船に蓄電池を100個搭載。およそ2万2000世帯が1日に使う電気を運ぶ計画だ。

パワーエックス 伊藤正裕 CEO
「北海道で充電して本州まで帰ってきて放電する。そんなに技術的に難しくなくコストもそんなにかからず、よっぽど海底直流線や海底高圧交流線などの維持管理と設置工事のほうが多分時間とコストがかかる。海洋国家の日本には出番がある」

自然災害も多い国日本。長内教授は船を動かす動力が何かに注目、二酸化炭素を出す形でないものでないといけないと指摘するが、将来の電池の可能性についてはみな一致する。

名古屋大学 佐藤登 客員教授
「カーボンニュートラルというキーワードとして再エネがあるが、太陽光にしても風力にしても必ず蓄電しなければならない。自動車でもハイブリッドと組み合わせてEVをやっていかないといけない。しかしハイブリッドに比べEVだと100倍容量が必要で、数千億、とか兆円単位の投資が必要になる。世界は国が相当投資をした中で官民一体でやっているので、日本も国が相当なバックアップをすることが必要となる」

(BS-TBS 『報道1930』 7月26日放送)