日本では、「安楽死」を認める法律や制度はありません。

安楽死の法制化を望む人、それに反対する人、それぞれの思いを取材しました。

安楽死が認められていなかったら?「首を吊って死んだかもしれない」

都内に住む、64歳の迎田良子さん。難病のパーキンソン病患者だ。

迎田良子さん(64)
「歩くのが好きなので、ちょっと辛くても歩きたいです。見てもわかる通り、膝が曲がって前かがみになっていて、 辛いというか、歩くのがちょっと大変」

日本では認められていない、安楽死の法制化を心から願っている。

迎田良子さん(64)
「安楽死に関して討論してほしいと思う。日本でもいつか、安楽死が合法化されることを願っています」

パーキンソン病は手足が震え、徐々に体が動かなくなるなどの難病だ。

ただ、それ自体で死に至る病ではない。

迎田良子さん(64)
Q.安楽死が仮に認められていなかったら?

「辛くて身体が痛みが続きますから、だんだん動けなくなってくるので、首を吊って死んだかもしれない」

両親と兄の4人家族。両親は不仲で、母親が自宅に連れ込んだ交際相手に、暴力を振るわれるなどしたため、迎田さんは小学生の頃から、早く家を出て自立することを夢見ていたという。

高校を卒業後、海外で日本語の講師などをした。

憧れだったヨーロッパと行き来しながら、一人で夢を切り拓いてきた。

しかし、50代でパーキンソン病を発症したことで、フランス人の男性との婚約が破談に。

その後、両親を看取り、一人で生活することが難しくなってきたと感じ、安楽死を決断した。

迎田良子さん(64)
「不快さ、体の痛みを代わってくれるわけではないので、進行性の難病なので、私はもう安楽死を選びますね」

日本では、患者の希望などで延命治療をやめることは認められているが、致死薬を使う「安楽死」は認められていない。

このため迎田さんは、海外で安楽死を認めてくれる団体を探し出し、手続きを行った。

迎田良子さん(64)
Q.安楽死を選びたいと思ってからどのくらいが経ちましたか?

「もう7年以上経ってますね」

Q.もし日本に安楽死があったらその道を選びましたか
「そうですね」

2週間後、スイスのジュネーブを訪れた迎田さん。

迎田良子さん(64)
「すごい綺麗。ほら、透き通ってるでしょ。 夏は気持ちいいのよ、足を入れてピチャピチャしてね」

レマン湖は、パーキンソン病を患う前の2006年に、恋人と訪れた特別な場所だという。

迎田良子さん(64)
「私が人生の中で一番幸せだと思ったところですし、そこで痛みを消して(安楽死して)、私の散骨をできる所なので嬉しいです」