自民党の調査報告 「『収支報告書に記載しないように』と言われていた」

なぜ自民党では派閥の政治資金パーティーの収入の一部がキックバックされ、政治資金収支報告書に記載されない事態が続いてきたのか。

自民党の聴き取り調査の報告書では「派閥事務局から収支報告する必要は無いと言われ信じていた」「『収支報告書に記載しないように』と言われていた」との声が複数あがり、キックバックされた金を使用していなかった理由として「裏金みたいなものではないかと思い、全額残した」と、裏金の認識を認めた議員もいた。
だが結局、声高に是正する動きを見せる議員は出ず、派閥側の指示に従う形で、収支報告書への不記載が少なくとも10年以上続くこととなった。

「裏金事件」と「過激ダンスショー」の共通点

(右)自民党青年局Xより

「過激ダンスショー」や「裏金事件」といった政治不信に繋がる不祥事がなぜなくならないのか。そこには、議員達が”おかしいと気付きながらも周りの空気に流され、行動を起こそうとしない”という共通点がある。

不適切な懇親会に参加し、青年局長を辞任した藤原氏は「パフォーマンスの途中で、どうかなと思いましたが、和歌山県連が用意したので止めるのもどうだろうかということで止めませんでした」と話す。

一方、裏金事件をめぐっては、党の調査に対し「派閥に属している者からすると、派閥から記載するなと言われてたものを記載するわけがない」「派閥の一会員は派閥から指示されると、そこから外れたことは出来ない」などと答えるなど、上には逆らえないとの心情が滲む。

ただ、国会議員は新人であろうと、大臣経験者であろうと、その土地土地で選ばれた国民の代表でもある。自民党が、いわゆる「派閥」を解消し、金と人事と完全に決別すると謳う中、議員一人一人には有権者の声を、「代」わりに「議」論する「士(さむらい)」であるとの自覚が求められている。

政治部 与党担当キャップ
中島哲平