1970年代半ばに原発建設計画が持ち上がった石川・珠洲市。住民の反対によって、原発建設は中止となりましたが、建設が予定されていた場所は、2024年元日の能登半島地震で甚大な被害を受けました。私たちの国の原発政策はどうなっているのか、北陸の現場を取材しました。

「町が死ぬ」原発建設止めた人たち

21年前、住民の反対によって、原発の建設が中止になった町がある。石川県・珠洲市の高屋地区。

金平茂紀キャスター
「港の向こう側、山がせり出している辺りですね。このあたりに山を切り崩して原発を作ろうとしてたわけです」

原発が建てられる予定だった場所は、2024年、元日の地震で甚大な被害を受けた。

大きく崩れた山肌。土砂崩れによって、あちこちの道路が寸断されていた。

海底の隆起によって波消しブロックはむき出しになっていた。

珠洲市に原発建設計画が持ち上がったのは、1970年代半ばのことだ。

「日本最大の原発」。中部電力・北陸電力・関西電力による共同開発で、高屋地区と寺家地区に原発が作られる計画だった。

国と電力会社が、いわば国策として巨額の資金をつぎ込み、原発建設を推進していた時代。

過疎化が進んでいた珠洲市の市議会は、1986年、チェルノブイリ事故が起きた直後に原発誘致を決議していた。

原発建設推進派と反対派で町は二分された。

珠洲市 林幹人市長(当時)
「市と致しましては今後とも市民の声を聞き、町作りに資するよう、厳正に電力を始動していく考え方に変わりはない」

司会「以上で報告会を終わります」
市民「答えになってないでしょ」

女性「お願いですからやめてください。町が死んでしまいます、お願いします」

30年近くにも及ぶ住民の反対運動の末、2003年、電力3社は計画を凍結することになった。