「地震に自信!」「津波対策は万全です」当時の電力会社は安全性を協調

塚本さんと共に、反対の声を上げていた人がいる。

珠洲市で理容店「ヘアーサロンはしもと」を営む橋本弘明(76)さん。

今から28年前、報道特集は反対運動の最中にいた橋本さんを取材していた。カメラは、橋本さんの店にやってきた推進派の住民とのやりとりを記録していた。

推進派住民(当時)「夢ばかり追っていても生活できない。これからの珠洲市、現実的なところを示して、次の珠洲市をどう持って行くか、お互いに真剣に考える時期が来ている」
橋本さん(当時)「みんな良くなればいいと思ってやっているが手法の違いで」

橋本さん「いや、懐かしい。話す余地のない人もたくさんいた。この人はまだいい方」

これは当時、電力会社などが住民に配っていたチラシだ。

橋本さん
「これは電力(会社)の毎週(新聞折り込みに)入ってくる」

金平キャスター「『原子力発電所は岩盤のしっかりした場所が選ばれて・・・』今回、隆起したんだけど」

新聞の折込チラシ
「地震に自信あり!」「津波対策は万全です」

電力会社は「原発の安全性」を強調していた。

原発がすでに建った町では、人口流出に歯止めがかかり、「明るく、楽しいまちになる」とうたっていた。

のちに原発事故で甚大な被害を受ける福島県・双葉町については・・・

チラシ
「(福島県双葉町では)豊かになった財源により、農業の振興が図られています」

さらに推進派は、著名人を招いて講演会を開いたり、全国の原発への視察旅行に住民を招待したりしていた。

橋本さん「全部無料。食べ物からバスから全部一切合切。金取ったら誰も行かない」