南海トラフ巨大地震を見据えて活用も

次に起きる災害で「いのちを守ろう」と、既にシステムを活用する県もある。南海トラフ巨大地震で甚大な被害が懸念されている高知県だ。

年に一度システムを使った大規模な訓練を行っている。2月、その訓練が行なわれた。今回の想定は、巨大地震が起き対応に追われている最中に、マグニチュード7の余震が起きたというもの。ヘリを飛ばして余震による新たな被害を把握している余裕はない。ここでシステムの登場だ。余震から18分後、会議室のスクリーンに予測結果が映し出された。

津波の到達時間が表示され、その後、津波が6時間続くことが示された。だが、その高さは最大50センチ。高知県の地図の色は真っ白だ。これは「津波による浸水はない」ということを表している。この「浸水がない」というのも重要な情報だ。

高知県の担当者は、システムについて「応急救助機関の検討や、救助の具体策の検討、被害の全容を把握しなくてもすすめられるメリットがある」と話す。

システムを使った高知県の訓練

今後は予測時間を20分→5分へ 携帯の位置情報も活用へ

システムを開発した越村教授は、今後5年以内に、計算時間を地震発生後20分から5分に短縮することを目指している。

これが実現すれば津波が来る前にどこが危険なのかが分かる可能性があり、いのちを守る避難につながるかもしれない。さらに越村教授は、携帯の位置情報を活用し、浸水区域内にどれだけの人が取り残されているのかを可視化できるようにもしたいと意気込む。

「現在は津波の"浸水予測"ですが、我々が目指すのは津波の”浸水予報”なんです。いのちを守る情報として活用してほしい」

越村教授は挑戦を続けていく。