「労働者ということを忘れて、自分があたかも投資家のようにふる舞ってしまうと」

藤森祥平キャスター:
投資詐欺にだまされてしまう背景には、投資への関心が一気に高まってることがありそうです。
政府は、2024年1月に新NISAを始めるなど、「貯蓄から投資へ」と呼びかけていることもあります。
〈金融商品への関心は?〉
・大いに高まった 6.8%
・多少高まった 22.1%
・変わらない 61.3%
・低くなった 5.1%
・その他・わからない 4.7%
※NEWS DIGアプリのアンケートです。
※統計学的手法に基づく世論調査ではありません。
3月4日に実施したNEWS DIGアプリのアンケートでも、日経平均株価が史上初の4万円台を突破したこともあり、「金融商品への関心はどうか」という問いに、「大いに高まった」「多少高まった」との回答は28.9%ありました。
小川キャスター:
斎藤さんご自身は、投資への関心はどうですか。

東京大学准教授 斎藤幸平さん:
私は社会主義者なので、投資をやってるとパブリックイメージ的にどうかとなってしまいますが、ただ貯蓄から投資への流れが高まっていて、長期的に見ると、投資できる人と、できない人たちの格差がますます広がっていくと思います。
政府は今、国策として、1億総投資社会のようなものを作ろうとしているので、今後の政策で株価が下がるようなこと、例えば金融所得課税を高めたり、法人税を上げたり、所得税を上げたりなどがあったら、やはり富裕層や大企業は嫌がるので、できなくなってしまう恐れがある。
逆に国民も、自分たちのお金をどんどん株につぎ込んでいると、「とにかく株価が上がってほしい」というふうに、投資家マインドを内面化するようになっていく。そうすると、再分配をすべきなど、私みたいな主張をする人たちの人気はどんどん下がっていって、再分配もされなくなると格差が広がっていくと。

確かに新NISAの制度は、普通に考えればすごくお得な制度なので、投資する余裕がある人たちは老後も心配でしょうからやったらいいんですけど、私が言えるのは「そうは言ってもあなたたちも労働者なんだから、労働者であるということを忘れて、自分があたかも投資家のようにふる舞ってしまうと、ますます一部のお金持ちがもっと儲かるだけの社会になってしまうのではないか」ということは、警鐘を鳴らしたいと思いました。
小川キャスター:
「この流れに乗らなければ」、「投資しなければ何か損してしまうのではないか」などの思いの広がりの中で、この投資詐欺というのも横行してしまっているというわけですね。
藤森キャスター:
ご注意ください。