“もしトラ”アメリカ大統領選の行方も影響か
―――この戦闘はいつ終わるのかということで、ゼレンスキー大統領はどう考えているのでしょうか?
(岡部芳彦氏)「これはロシアが始めた戦争で、ウクライナは防衛戦争。ロシアが止めない限りは終わらないので、これは『わからない』っていうのが正直なところですね」
―――今の戦況では東部4州の大部分をロシアが支配しています。これを取り返すという話ですが、どこかで妥協するようなことは考えられますか?
(岡部芳彦氏)「先ほど言った通りゼレンスキーは機会主義者です。どうしてこの戦争を2年続けられたか、あるいは続けているかというと、国民は比較的まだ停戦にネガティブな意見が大きい。全土を奪還しろという意見は最近はだいぶ減ってきているんですけど、一方でロシアには屈しないっていう世論が多いので、さっき言った通り世論が支えている限りはゼレンスキーは機会主義者だから戦争は止められないと」
―――一方のプーチン大統領は戦闘終結について「来月末」と考えていると?
(中村逸郎氏)「ゼレンスキー大統領とアメリカとロシアで水面下でこの戦争をどうやるかってことをずっと探ってきたんですが、ゼレンスキー大統領は正式に拒否、交渉拒否、(停戦交渉は)しないということをはっきり言ったんですね。ということは、この戦争をどうやって止めるかっていうと、やはりロシア国民がプーチン政権を倒すしかないっていうところまで来ているわけです。ナワリヌイさんが亡くなり、3月2日にモスクワで5万人の追悼の集会をやろうという声が起こっている。そして極東で、ハバロフスクという地方都市で反プーチンの運動、活動が活発化してきている。もしかしたらそういった人たちが地方行政府、県庁とか市役所に乗り込んでいく、その流れが3月2日に向けて進む。そして3月17日の大統領選挙。これをいわゆる反プーチンの人たちは、実施させないと。今いろんな声が上がっていますが、投票用紙にナワリヌイさんの名前を書いたり、目の前で投票用紙を破ったり、または投票所そのものを壊してやろうという動きも出てきていて、いずれにしてもこの戦争はナワリヌイさんの死を受けて、どうやら騒々しくなってきているということなんですね」
(武田一顕氏)「プーチンがひっくり返ってというのはなかなか考えにくくて、むしろやっぱり“もしトラ”、トランプ前大統領の方が鍵を握っている。トランプさんが当選するってなったら、ウクライナはもう戦えないじゃないですか。そうなったら、和平に流れていくしかないから、やっぱり今年は秋に向けて、楽観的に見れば、停戦の動きが出てくるんじゃないかと私は思っている」
(岡部芳彦氏)「実はトランプを支えるシンクタンクがあるんですね。そこにいろいろブレーンの人たちが論文を載せているんですけど、実はそこに何と書いてあるかというと、今のバイデンの支援というのは戦力の逐次投入だと。トランプが生まれたら、最初のときに強力な兵器をウクライナに提供するか、戦争をやめるかをプーチンに迫るべきだって書いてあるんですよ。これを読んだときはすごく背筋が寒くなって、強力な兵器って核兵器しかないですよね。そういうブレーンが今トランプを支えているっていう、こちらもちょっとリスクとしてあるかなと」
―――そして北朝鮮がどう絡んでくるかということですね?
(李相哲氏)「北朝鮮は戦争が続けばですね、やっぱり東アジアで暴れやすくなるんですよね。プーチンの思惑は、アメリカの関心がウクライナに来ないようにするためにアジアで暴れてほしいんですね」
(中村逸郎氏)「今年1月、プーチン大統領は北朝鮮に近々訪問することを発表したんですね。ですから、もしかしたら、ウクライナ、中東、そして朝鮮半島、極東が非常に厳しい状況になるのではないかと思っています」














