燕市の町工場にあるこの飛行機は、吉田社長の夢と深い関係がありました。
「もともと飛行機が好きだっていうことがあります。なぜ好きなのかといわれると、その理由も分からないくらい前から好きだっていう…」

『ATRヤマト』は吉田社長が航空機の開発を目指して立ち上げた会社です。
奈良県出身の吉田社長は、大学を卒業した後、電機メーカーや住宅設備機器メーカーで商品の企画や開発に携わってきました。
そんな中、2005年にアメリカで飛行機をめぐる大きな動きがありました。
「ちょうどアメリカで、このカテゴリーの大幅な法改正がおこなわれまして…」

アメリカの航空法の改正です。
『LSA』というカテゴリーが新たに誕生し、免許を取るハードルが下がり、保守管理に関する手順が大幅に緩和されました。
吉田社長はそこに大きな可能性を感じたそうです。
「車でいうならば、普通自動車しかないという世界に軽自動車という新しいカテゴリーを創設しましたっていう法律だったんですね。“これは発展するな”ということを感じて、じゃあこのチャンスに小型機のカテゴリに挑戦してみようかなと」

こうして、昔から大好きだった「飛行機を作る」という夢を叶えるべく、選んだのが『ものづくりのまち 燕三条』でした。
「燕三条地域だったら加工工場もたくさんあるし、いろんな設備があるし、かつ広々としていることもあるので、これは燕三条にぴったりかなと」