JNNが2月におこなった世論調査で、次の総理にふさわしい人のトップに立った自民党の石破茂元幹事長。石破氏はこの結果について「知名度が高いことと、内閣の外にいるので自由な発言が出来るからだ」と浮かれる様子は見せないが、総理の座を意識していないことはない。

だが、国民からの人気とは裏腹に、自民党内の支持に広がりは見えない。
石破氏は今、「正論」を言うほど党内の支持を失うジレンマに直面している。

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岸田内閣退陣を“提案”?

2023年12月、自民党の派閥の政治資金パーティーの問題が国会でも取り上げられる中、次のような見出しのニュースが自民党で物議を醸した。

「自民・石破氏 来年度予算成立後の岸田内閣退陣を“提案”」

これは、石破氏が民放のテレビ番組に出演した際、安倍派の裏金疑惑について、党総裁である岸田総理の責任の取り方について「来年度予算案が成立したら辞めるというのはありだ。国民に判断してもらおうと衆議院を解散するのも責任の取り方かもしれない」と話したものだ。これには自民党内から、政府・自民党が必死に野党の追及に耐える中、「後ろから鉄砲を撃つのか」と石破氏を批判する声が噴出した。

石破氏としては、岸田総理の責任を追及するとの思いはなく、一般論として発言したつもりだったようだが、党内のひんしゅくを買うこととなった。

不用意な発言をし自身の思いとは異なる受け取られ方をして党内の批判を浴びるのは、石破氏の特徴とも言える。