『耐震性に問題』で大学側が立ち退き要求 寮生は『話し合い』を求めたが裁判に

 大学側は一部の老朽化に伴い耐震性に問題があるとして、全ての寮生の立ち退きと新規入寮募集の停止を要求。代わりとなる宿舎を提供するとしたものの、一部の寮生は退去を拒み、大学側に話し合いの再開を求めた。ところが…。
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 2019年には「要求に応じなかった学生たちが寮を不法占拠している」などとして大学側が立ち退きを求め、現棟に住んでいた学生たちを提訴した。

 (京都大学 川添信介副学長 2019年当時)「安全性の確保のために、この手段が望ましいと判断したということになります」
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 11年前から吉田寮に住む大学院アジア・アフリカ地域研究研究科の博士課程2年生・高橋歩唯さんも被告の一人となった。

 (博士課程2年生 高橋歩唯さん)「郵便として裁判所から訴状が、分厚い訴状が届いて知るという流れだった」

 研究費用を工面するために授業の合間を縫ってアルバイトに励む一方、吉田寮での生活は心の拠り所にもなっていた。提訴されてからは裁判があり授業に行けなくなったこともあったという。

 (博士課程2年生 高橋歩唯さん)「話し合いを拒否していた側が、まして大学と学生という力関係のある中で学生を訴えるっていうことは、解決を目指すっていうよりも学生に対して懲罰を行いたい、処罰的な心情でやっているんじゃないかなと。情けないというか、おかしい。あり得ない」
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 寮生側は「建物を補修しながら継続的に居住できる」とした上で「戦前から受け継がれてきた寮自治という他には得難い営みそのものを守るべきだ」と主張。大学側には裁判ではなく話し合いを再開するよう強く求めている。

 一方、大学側は取材に対して「係争中のためコメントは差し控える」と回答。裁判資料によりますと「代わりの宿舎を提供するため大学周辺への居住は可能」として退去を求めた。