(ブルームバーグ):過去2年間に急ピッチで上昇してきた米防衛関連株が、今年に入って勢いを失っている。米中間選挙で民主党が上院か下院、または両院で多数派となれば、予算交渉が長期化し、予算措置も遅れる可能性がある。市場では、これを見越して防衛株の一段安に備える動きが広がっている。
戦車や戦闘機、艦艇、ミサイル、無人機などを手掛ける防衛関連企業の株価は、今年に入り市場全体を大きく下回っている。トランプ大統領が掲げる大規模な国防予算案が実現するかどうかへの疑念に加え、株価の割高感が重石となっている。
トランプ氏が国防予算を1兆5000億ドル(約234兆円)に拡大すると表明したことで、兵器メーカーが大きな恩恵を受けるとの期待が高まり、防衛株は記録的に上昇していた。ただ、世論調査や予測市場では、11月3日の中間選挙を経て、来年は民主党が下院の多数派を握る可能性が高いとみられている。上院の多数派争いについては接戦となっている。
ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、ウェイン・サンダース氏は「民主党が勝利して議会がねじれれば、国防費の増額はこれまで以上に厳しく審査され、個々の計画の妥当性も細かく問われることになる」と指摘した。「つまり、弾薬関連の予算は、防空システムやその他の兵器にも充てられる大きな予算枠の一部としてではなく、個別に精査される可能性が高い」という。
S&Pコンポジット1500航空宇宙・防衛指数は、イランとの衝突が始まる直前の2月27日以降、13%下落した。一方、S&P500種株価指数は同期間に約10%上昇している。防衛セクターに連動する上場投資信託(ETF)のiShares米国航空宇宙・防衛ETFは、2023年以来初めて、2四半期連続の資金純流出となる見通しだ。

下落率が特に大きいのは、宇宙・ミサイルシステムを手掛けるカーマン・ホールディングス、防衛テクノロジー企業のクラトス・ディフェンス&セキュリティー・ソリューションズ、無人機メーカーのエアロバイロンメントだ。いずれも2月末から少なくとも38%下落している。大型装備を手掛ける防衛大手も売られている。ノースロップ・グラマン、ロッキード・マーチン、ハンティントン・インガルス・インダストリーズ、L3ハリス・テクノロジーズは、いずれも少なくとも18%値下がりした。
アポロン・ウェルス・マネジメントの最高投資責任者(CIO)、エリック・スターナー氏は「少なくとも過去30年の平均と比べると、株価収益率(PER)が高いため、防衛株にはもう一段の下押し圧力がかかる可能性がある」と述べた。「選挙当日までに、さらに下落する可能性もある」という。
ブルームバーグがまとめたデータによると、防衛株指数の予想PERは現在27倍。過去30年の平均は約18倍で、S&P500種の現在の19倍も上回っている。

トランプ政権は2027会計年度の国防費として1兆5000億ドルを要求している。このうち1兆1500億ドルは裁量的支出で、残る3500億ドルは、国防費を義務的支出として迅速に承認できる議会手続き「財政調整措置」を通じて確保する計画だ。2027会計年度は10月1日に始まる。上院共和党トップのジョン・スーン院内総務は、共和党が中間選挙前に予算決議の審議に入ることはないとの見方を示している。
2027会計年度の暫定予算は12月11日までとなる予定だ。このためアナリストらは、選挙後から新議会が発足するまでの期間は、防衛株安を買いの好機とみる動きが広がるのか、それとも投資資金が他の分野に向かうのかを占う重要な局面になるとみている。
原題:Risk of Midterm ‘Blue Wave’ Leaves Defense Stocks Out of Favor(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.