日本銀行が17、18日に開く金融政策決定会合では、政策金利を31年ぶりの高水準となる1.25%に引き上げる見通し。会合では、声明文や植田和男総裁の会見から先行きの利上げのペースと余地を探る。

利上げが行われれば6月以来、3カ月ぶり。植田体制下では2024年3月のマイナス金利の解除を含めて5回の利上げを行っているが、今回が最速ペースになる。これまで平均して半年に1回程度だった間隔から大幅な短縮となる。

複数の関係者によると、一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率が目標の2%に接近する中で、原油価格の上昇やこれまでの円安などを背景に上抜けていくリスクを回避する。1.25%の政策金利水準でも緩和的な金融環境が大きく変化する可能性は低く、利上げ継続姿勢も維持される可能性が大きい。

ブルームバーグがエコノミスト52人を対象に行った調査によると、今会合で政策金利を1.25%程度に引き上げると全員が予想。その次は58%が来年1月を、35%が今年12月を見込んだ。今後の利上げペースは、四半期に1回程度が46%で最多だった。

米連邦公開市場委員会(FOMC)は15、16両日に開いた定例会合で政策金利を0.25ポイント引き上げた。年内に追加利上げを実施する見通しも示し、円相場は対ドルで156円台前半に下落している。10日には欧州中央銀行(ECB)も利上げしており、世界的なインフレ圧力の高まりを受けて主要中銀が足並みをそろえる。

物価目標実現

会合後に公表される声明文や植田総裁の会見で、その次の利上げ時期やペース、今回の利上げ局面での最高到達点(ターミナルレート)などに具体的に言及する可能性は低い。そうした中で、政策運営方針や緩和環境、物価上振れリスクなどに関する見解や表現とその変化から先行きを占うことになる。

1.0%に利上げした6月会合の声明文では、物価の基調が目標の2%を超えて上振れていくリスクに言及し、利上げ後も「緩和的な金融環境は維持される」と明記した。前回の7月会合では、政策運営上の点検項目に従来の中東情勢にAI関連需要と為替動向を追加。会見で植田総裁は、利上げペースが加速する可能性に踏み込んだ。

ブルームバーグ・エコノミクスの見方

「利上げは既に十分織り込まれているため、焦点は今後の利上げペースに関するシグナルに移っている。われわれは、日銀が慎重さをにじませ、それを『思っていたほどタカ派的ではない』と市場が受け止める可能性があるとみている」

木村太郎シニアエコノミスト

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日銀は物価の基調が2%程度に達する時期を「26年度後半から27年度にかけて」とみている。これまでの経済・物価は日銀の見通しに沿って推移していると判断しており、着実に目標実現に近づいている。その距離感と緩和度合いのバランスも利上げペースを探る上でポイントになる。

政策委員の投票行動に対する市場の関心も高い。高市早苗政権の指名で審議委員に就任し、ハト派とされる浅田統一郎氏と佐藤綾野氏が利上げに反対票を投じれば、利上げに対する政権の慎重姿勢を確認する材料になる。一方、タカ派の高田創審議委員は、2日の講演で利上げ幅も柔軟に考える必要性を主張している。

政府は前回の7月会合の開催中に円安是正を狙った為替市場介入に動き、直後に米当局も異例の協調行動に踏み切ったことが、市場の9月利上げ観測を高めた。この間、ベッセント米財務長官から日銀の利上げ継続に期待感を示す発言が相次いだ。植田総裁の会見では、改めて中央銀行の独立性に関する見解を問われる可能性がある。

その他の注目点

  • 1.25%の政策金利は、日銀が示している景気を刺激も抑制もしない名目の中立金利のレンジである1.1%-2.5%の下限を超える。植田総裁の中立金利に対する見解
  • 利上げペースが速まる中で、今後の連続利上げや利上げ幅拡大の可能性、政策対応が遅れるビハインド・ザ・カーブに対する植田総裁の認識
  • 為替介入などを背景とした足元の円高と緊張が続く中東情勢を受けた原油価格の上昇が物価上振れリスクに与えている影響

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