(ブルームバーグ):テキサス州ダラスで開催の共和党大会へのトランプ米大統領の出発が、思わぬ原因で遅れた。大統領専用機「エアフォースワン」として使用されている、カタール寄贈の航空機の緊急脱出スライドが、誤って作動したためだ。
トランプ氏は9日、ヘリコプターでアンドルーズ統合基地に到着したが、機体前方付近で膨張式スライドが展開されたままだったため、約20分間ヘリコプター内での待機を余儀なくされた。地上作業員が最終的にスライドを撤去し、トランプ氏は出発できた。
匿名を条件に語った関係者によると、スライドは軍関係者が誤って作動させた。誰が作動させたかについては、ニューヨーク・タイムズ紙がトランプ大統領の出発から数時間後に最初に報じていた。
一方、同紙の報道に先立ち、トランプ氏は駐機場で記者団に対し、「全てが完璧に作動することを確認したい」ため「スライドの点検をしている」と説明し、作業には約15分かかると話していた。
エアフォースワンの飛行の安全性に自信があるかを問われると、トランプ氏は「そうだ。そうでなければ乗っていない」と答えた。
ホワイトハウスのスティーブン・チョン広報部長は、ニューヨーク・タイムズ紙の報道に関する質問に対し、「大統領が述べた通り、全てが完璧に作動することを確認するため、スライドを点検した」と説明。「エアフォースワンはダラスに向かっており、大統領は熱気にあふれる満員の聴衆に、待望の演説を行う」と述べた。
この一件を巡っては、異例の光景が広がった。「マリーンワン」と呼ばれるヘリコプター内に大統領がとどまって姿を見せない中、空軍とシークレットサービスの要員が駐機場を慌ただしく動き回った。一時は、かつてエアフォースワンとして使われていた機体が格納庫から新エアフォースワンの方へ移動する様子が確認され、前方と後方のタラップも展開された。
この出来事により、新大統領専用機として使われる豪勢なボーイング機が再び注目を集めた。トランプ氏は長期にわたって計画されていた大統領専用機の後継機納入の遅延に同社へのいら立ちを募らせ、今夏から、今回の機体を使い始めていた。
トランプ氏は7月にトルコで開かれた北大西洋条約機構(NATO)首脳会議には、新エアフォースワンで向かった。しかし帰路は、イランによる安全保障上の脅威を理由に、軍用機でひそかにトルコから出発した。一方、ホワイトハウスは、大統領が旧型のエアフォースワンで報道陣と移動しているかのように装っていた。
トランプ氏は当時、米軍関係者にお披露目するため、新型機の方を英国の軍事基地に送ると述べていた。
カタールから寄贈された747-8機には、通常エアフォースワンとして使用されるVC-25機が備えている安全保障、通信、防御の各機能がそろっていない。一方で空軍は、大統領が安全に搭乗できるとしている。
新型機は、トランプ氏の使用のため空軍に引き渡される前に、安全保障上の改修が施された。ただ、トランプ氏は7月、新型機については夏の間に追加改修を行い、装備を「最大限に充実させる」と詳細には触れずに述べていた。
原題:Air Force One Slide Accidentally Deployed, Delaying Trump Trip(抜粋)
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