(ブルームバーグ):米アップルは米国時間9日、約2000ドル(約31万円)の折り畳み式スマートフォン「iPhone Duo」を発表する。カリフォルニア州クパチーノでさまざまな新製品を披露するイベントが現地時間午前10時(日本時間10日午前2時)に始まる。
イベントでは「iPhone 18 Pro」や新型「Apple Watch」、刷新された「AirPods」も披露される予定だ。ただ、発表の目玉となるのはiPhone Duoだ。高価格帯の端末で、アップルはDuoがステータスシンボルになるとともに、革新的企業としての評価回復にもつながると見込んでいる。
同社にとって、今回のイベントにはもう1つの目的がある。今月1日に就任したジョン・ターナス最高経営責任者(CEO)を世界にお披露目する。CEOを退いたティム・クック氏は現在、執行会長を務めている。
ターナスCEOの初舞台
2021年から同社のハードウエア部門を率いてきたターナス氏は、これまでにもアップルの製品発表イベントで司会を務めたことがある。
CEOとして初めての司会では、製品発表を前に同氏が自身をどう紹介するのかにウォール街や顧客、メディアが注目することになる。最新端末をどのように披露するかも関心を集めそうだ。
ターナス氏にとって重圧は大きい。クック氏の下でアップルの年間売上高は5000億ドル近くまで急増し、株価は約2300%上昇した。Apple Watchという大きな例外はあるが、クック氏は新たな製品カテゴリーを数多く生み出したわけではない。それでも、実績がその成果を物語っている。
ターナス氏が成功したと評価されるには、アップルの好調を維持しながら、新たな分野にも事業を広げる必要がある。今回のイベントは、自らのビジョンを示す最初の機会となる。クック氏はプレゼンテーションには加わらず、観客席から見守る予定だ。
折り畳み式iPhone Duoは2000ドルから
折り畳み式スマホは従来、販売が振るわず、バッテリー駆動時間の短さやカメラ性能の低さといった欠点もあった。端末を開いた際に目立つ折り目も弱点の1つだった。
ただ、潮目はついに変わりつつあるのかもしれない。テクノロジーやサプライチェーンが進化し、耐久性の向上や折り目の問題軽減など、さまざまな欠点への対応が可能になってきたためだ。これにより、折り畳み端末が主流になる可能性がある。
アップルが今、この市場に参入するのはそのためだ。課題は、価格に見合うだけの魅力的な製品を生み出せるかどうかで、iPhone Duoは価格が2000ドルからとなる。
韓国のサムスン電子などが販売している競合モデルより高いが、高価な部品を搭載する製品というアップルの狙いには沿った価格設定だ。エントリーモデルのストレージ容量は256ギガバイトで、より大容量のモデルも用意し、価格は最高で約3000ドルに達する。
最近の半導体メモリー不足を受け、アップルはコスト目標を大幅に超過したため、価格を2000ドル前後に抑えようと費用の一部を自社で吸収している。一方、大容量モデルを購入する消費者にはコストの一部を転嫁する。
サムスンの新型「Z Fold8」と同様、Duoは動画視聴に適した縦が短く、横幅の広いデザインを採用する。アップルが自社開発した新型「C2モデム」と「A20 Proチップ」を搭載するほか、アプリを左右に並べて表示し、「iPad」のようなマルチタスク処理も可能になる。
背面には4800万画素のカメラを2基搭載し、ビデオ会議向けの1200万画素カメラも備える。磁気式ヒンジ機構を採用し、スタイラスペンの「Apple Pencil」にも対応する。Duoは早ければ10月に発売され、カラーはホワイトとダークブルーを用意する。
カメラを大幅強化するiPhone 18 Proシリーズ
アップルのiPhone Proシリーズは今年も、実績のある従来型のストレート形状を維持する。実際、iPhone 18 Proと「Pro Max」の外観は昨年モデルとほぼ同じで、人気だったオレンジからバーガンディーレッドに変更される点を除けば大きな違いはない。ただ、技術面ではいくつか注目すべきアップデートが施される。
カメラシステムには新しいレンズとプロ向けソフトウエアを採用する。最大の変更点は、少なくとも大型モデルに機械式絞りを搭載することだ。これにより、被写界深度をより精密に制御でき、暗所での撮影性能も向上する。A20 Proチップを搭載するほか、バッテリー駆動時間を延ばし、過熱を抑えるためベイパーチャンバーも刷新する。
もう1つの変更点は、2022年に初めて導入されたインターフェースデザイン「Dynamic Island」のカットアウトが小型化され、機能も向上することだ。
iPhoneの画面上部で三つのライブタスクを同時に切り替えられるようになる。従来は二つのライブアクティビティーに対応していた。9日に発表されないとみられるのは、通常モデルの「iPhone 18」「iPhone 18e」「iPhone Air 2」だ。これらは来年登場予定だ。
Apple Watch刷新とAirPods 5
Apple WatchとAirPodsも大幅なデザイン変更はないが、幾つかの重要なアップデートがある。新型Apple Watch「Series 12」「Ultra 4」では、新色を用意するほか、ケースとバンドを変更する。Series 12ではセラミックケースの選択肢が復活する。最上位モデルのUltra 4はバッテリー駆動時間が向上する。
大きな焦点となるのは、Apple Watchに搭載された各種センサーから得られる健康・フィットネス関連情報のさらなる充実だ。アップルは、端末のセンサーから得られる心拍数や血中酸素濃度などの主要データを追跡するソフトウエア「Vitals」の派生版となる新アプリ「Readiness」を導入する。
このアプリには、オーラ(Oura)やフープ(Whoop)の端末でなじみのある機能も一部搭載され、アップルがウェアラブル型フィットネス端末の新興勢力とより直接的に競う姿勢を示す。
Apple Watchの新たな健康関連機能は、刷新されたiPhoneの「Health」アプリと共に導入される。Apple Watchには、最近相次いで登場しているAIウエアラブル端末に対抗する機能も加わる。
プライバシーを重視しながらユーザーの1日を分析し、会話を含め、その日に起きたことを要約する機能だ。このシステムは会話の書き起こしを表示せず、音声の録音や保存もしない。
アップルは当初、周囲の環境を分析する内蔵カメラセンサーを備えた高級インイヤー型AirPodsを今回のイベントで発表する予定だった。これは来年まで延期されたが、低価格帯の新型「AirPods 5」は発表される。イヤホンはワイヤレス充電ケース付きとケースなしの2種類を用意し、ノイズキャンセリング性能を大幅に向上させる。
iPhone値上げ
9日にウォール街と消費者が最も注目する点は、製品価格かもしれない。アップルは6月、深刻な半導体メモリー不足を受け、「Mac」やiPadなどホーム端末を一斉に値上げした。その時はiPhoneの価格据え置きを決めたが、今回は方針を転換し、iPhone 18 ProとPro Maxをそれぞれ100ドル値上げする。
同社は今年に入り、米国でリースプログラム「Apple Upgrade」を発表し、価格引き上げの影響を和らげる措置を講じていた。このプログラムでは、ユーザーが料金を毎月払うことで、端末を毎年新しいモデルに交換できる。携帯通信会社も、積極的な分割払いプランや下取り優遇策を提供することで、iPhoneの価格上昇による消費者の負担感を和らげる可能性がある。
原題:Apple to Unveil $2,000 Foldable iPhone Duo at High-Stakes Event(抜粋)
もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
©2026 Bloomberg L.P.