日本の個人投資家が、急速な円の上昇に対して逆張りで臨んでいる。対ドルで半年ぶりの水準まで円高が進む局面で、円売りポジションを積み増している。

ブルームバーグが金融先物取引業協会と東京金融取引所の外国為替証拠金取引(FX)のデータを分析したところ、個人投資家の円の売り越しポジションは先週、推計で3兆6100億円と8月から増加した。円に対する弱気ポジションは7月に4兆4100億円と、2015年以来の高水準となっていた。

FXを手掛ける日本の個人投資家は相場の流れと反対のポジションを取る「逆張り」の傾向があり、円高局面では円売り、円安局面では円を買うことが多い。対照的に、海外の投資家は今回の円急伸局面で円を調達通貨とするキャリートレードの巻き戻しを急いだ。ヘッジファンドも円の一段高を見込み、一部は年末までにドル・円が150円を割り込むことに賭けている。

みずほ銀行の中島將行シニアストラテジストは、日本の個人投資家について「円高がさらに進めば、最終的にはドル買い・円売りポジションの巻き戻しを迫られる可能性がある」と指摘する。損失を抑えるための円買いが増えれば、円高に一段と拍車がかかるとみる。

為替のディーリングルーム

円は月初から対ドルで約4%上昇し、一時153円を突破、2月以来約半年ぶりに152円台を付けた。日本銀行の追加利上げ観測や、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による国内債券の配分引き上げの思惑が円買いを促した。重要な節目を抜けたことで大規模なストップロス(損失確定の売買)注文が発動され、円高が加速した。

もっとも、円高の勢いが増すにつれ、個人投資家の逆張り姿勢にも変化の兆しが見られる。

SBIリクイディティ・マーケットの鈴木亮常務によると、ドル・円が160円台から下落する過程では、従来通りドルを買い下がる動きが目立っていたが、155円を割れてからはやや慎重な姿勢に変化し、足元では売買が交錯しているという。全体としては引き続きドル買い・円売りポジションを保持しているが、「一方向にドル・円に買い向かう動きはやや弱まっている」とした。

鈴木氏はまた、含み損を抱えたポジションについて「以前は強制ロスカットとなるまで保有し続けるケースも比較的多かった」が、最近は相場の方向性が転換したと判断すれば自ら損切りを行う個人投資家が増えていると指摘。その上で、円高がさらに進めば、円売りポジションを保有し続けている個人投資家の一部で強制ロスカットが発生する可能性はまだあると話した。

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.