今年、53年ぶりに米プロバスケットボールNBAを制覇したニューヨーク・ニックス。その成功は、同チームの一部選手を顧客に抱えるゴールドマン・サックス・グループにとっても追い風となっている。

ニックスには優勝に伴い、チーム全体で900万ドル(約14億500万円)を超える賞金が支給された。スター選手は優勝後、スポンサー契約でさらに多額の収入を得ることも多い。こうした選手を顧客に抱えるゴールドマンのウェルスマネジメント事業にも、その恩恵が及ぶ。

ゴールドマンには、ニックスの選手たちと特別なつながりを持つ人材がいる。ビラノバ大学卒業生のマット・ケネディ氏だ。身長約188センチの同氏は大学時代、現在ニックスのスター選手であるジェイレン・ブランソン、ジョシュ・ハート、ミカル・ブリッジズと数年間チームメートだった。

ケネディ氏は学業でも優秀だった。ビラノバ大在学中、NCAAの全米大学選手権で、ファイナルフォーに出場した選手の中で学業成績が最も優秀な選手に贈られる「エリート90賞」を受賞した。

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試合に出場する機会は、後にスターとなった元チームメートに比べてはるかに少なかった。ビラノバ大によるケネディ氏のプロフィールでは、同大を選んだ理由として「コミュニティー意識と男子バスケットボールチームの兄弟のような結束」を挙げている。実際、元チームメートとの親交は今も深く、昨年のケネディ氏の結婚式ではブリッジズがベストマンを務めた。

ケネディ氏は6月、スポーツメディア「ジ・アスレチック」に、ここ数年ニックスの試合に入場できるパスを持っていると語った。同記事ではブリッジズについて「彼は絶対に、絶対に、絶対に手を抜かない」と評した。

ケネディ氏はゴールドマンでのインターンを経て、債券部門で債務担保証券(CLO)などの金融商品を担当。その後、約2年前にウェルスマネジメント事業に移った。事情に詳しい関係者によると、現在所属する部署はニックスの選手だけでなく、幅広い顧客の資産運用を手掛けている。

ゴールドマンの広報担当者は、顧客へのサービスは特定の個人ではなくチーム全体で提供していると説明し、具体的に誰を顧客としているかについてはコメントを控えた。ケネディ氏もコメントを控えた。ニックスの広報担当者からは直ちに回答を得られなかった。

元アスリートがゴールドマンの富裕層顧客の獲得に一役買うのは、今回が初めてではない。NFLニューヨーク・ジャイアンツの元主将で、スーパーボウルを2度制したジャスティン・タック氏は2018年、同行のプライベート・ウェルスマネジメント部門に入社した。同氏はこの仕事では長期的な人間関係が重要だと語っている。

ニックスのブランソン選手

アメリカンフットボールやバスケットボールの試合は、富裕層が交流する格好の場でもある。タック氏は、メットライフ・スタジアムのVIP席に集まる有力企業幹部との関係構築に取り組んできたと話している。特にニックスの試合には著名人や企業幹部が数多く訪れる。ゴールドマンのデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)もその一人で、今年のプレーオフを観戦した。

ゴールドマンにとって、こうした人脈はウェルスマネジメント事業の拡大にもつながる。ウェルスマネジメント事業はマーク・ナックマン氏が率いる資産・ウェルスマネジメント部門の一角を占め、同部門は公開市場とプライベート市場を合わせて4兆ドル超の資産を運用している。

非公開情報だとして匿名を条件に語った関係者によると、ゴールドマンの顧客であるアスリートは一般に長期的な視点で投資し、年齢層の高い顧客の一部と比べ、プライベート資産や流動性の低い投資にも抵抗が少ない。若くして現役を引退する選手も多く、安定した収入を生み出す事業やフランチャイズへの投資を求める傾向があるという。

原題:Knicks Stars Stash Wealth With Goldman and Ex-Villanova Teammate(抜粋)

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