ドイツのスタートアップ、イザール・エアロスペースのロケットがノルウェーで打ち上げられ、搭載していた衛星を予定の軌道に投入した。欧州大陸から打ち上げられた民間の宇宙ミッションが軌道到達に成功したのは初めて。商業宇宙輸送で先行する米企業を追う欧州にとって大きな節目となる。

同社のロケット「スペクトラム」は5日、ノルウェー北部のアンドーヤ宇宙港から打ち上げられ、約4分で軌道に到達した。同社にとって今回は2度目の挑戦。今年に入ってから悪天候や技術的な問題、さらに周辺に船舶が進入するトラブルが重なり、延期を繰り返していた。

イザールのダニエル・メッツラー最高経営責任者(CEO)は発表資料で「欧州は自前の宇宙アクセス手段を手にした」と述べ、「欧州の宇宙飛行は新たな段階に入った」と強調した。

スペクトラムは全長28メートル、低軌道への衛星投入能力は1000キログラム。6月に史上最大規模の新規株式公開(IPO)を実施した業界リーダー、米スペースXのロケットに比べれば、機体ははるかに小さい。

だが、メッツラー氏はこのサイズこそが強みだとしている。顧客が求める特定の軌道に衛星を的確に届けられるため、スペースXとの差別化につながるという。同社は今年、2億7000万ユーロ(約490億円)の資金調達を完了しており、同氏はその際、こうした強みを説明していた。

昨年の初挑戦では、飛行は約30秒で終わり、機体は墜落した。

欧州各国が宇宙分野の予算を積み増す中、イザールはその恩恵を取り込もうとしている企業の一社。8月には欧州宇宙機関(ESA)と、打ち上げ機の開発資金に充てる約2億ユーロの契約を結んだ。

同社は当初、民生用ロケットに軸足を置いていたが、この1年で防衛顧客の開拓を進め、受注の約6割を防衛関連が占めるまでになった。ウクライナでの戦争に加え、対米関係のきしみを背景に戦略的自立を求める声が強まり、欧州では宇宙能力の整備を急ぐ機運が高まっている。

イザールはミュンヘン近郊に工場を建設中で、年産最大40基を目標に掲げる。ESAやノルウェー宇宙機関向けのミッションを含め、2028年分まで契約は埋まっている。

原題:German Startup’s Rocket Deploys Satellites in a First for Europe(抜粋)

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