韓国や日本のAI関連銘柄に売買が集中する中で、分散投資先を探る投資家が中国株デリバティブ(金融派生商品)への投資を増やしている。

バークレイズやUBSグループのトレーディングデスクではここ数週間、中国のCSI指数に連動する強気のオプション取引やスワップ契約への顧客需要が高まっている。ストラテジストの間でも、特に中国の中小型株を対象に、上昇を見込んだデリバティブ取引を推奨する動きが増えてきた。

BNPパリバとバンク・オブ・アメリカ(BofA)によれば、中国株の主な支援材料は、緩やかな強気相場を支える資本市場改革の継続、技術自立の進展、ハードウエア関連セクター全般での業績見通しの改善だ。UBSは最近のレポートで、投資先の分散を図る投資家にとって、AIトレードの分散先としてCSI500が選択肢になり得ると指摘した。

ただ、楽観論が戻りつつあるとはいえ、中国の景気見通しと政府の支援姿勢を巡っては慎重な見方が根強い。CSI1000指数は7月に2016年以来最大の月間下落率を記録した後に持ち直したものの、5月の高値をなお16%下回る。一方、オプションの指標であるインプライド・ボラティリティー(IV、予想変動率)は過去1年の平均近辺まで低下しており、デリバティブ取引の妙味が増している。

「誰もが少し神経質になっている今こそ、理想的な取引となっている」とBofAでアジア太平洋地域の株式デリバティブ調査を統括するラース・ネクター氏は語り、CSI1000のコールスプレッド(同一の原資産かつ同一の満期日で、権利行使価格が異なるコールオプションの「買い」と「売り」を同時に組み合わせるオプション戦略)を推奨する。

「現物株や先物に飛び乗るよりオプションの方が理にかなう。価格が有利な水準ならなおさらだ。いずれ材料は出てくる。動いてから反応するより、先回りして戦術的に構える方が割安なことが多い」と同氏は分析する。

バークレイズでは、本土指数のコールスプレッドへの関心が顧客の間で高まっており、急騰ではなく緩やかな上昇を見込むポジションが目立つ。同行のアジア太平洋エクイティーフロー・デリバティブ営業責任者、カーンハリ・シン氏は、CSI300とCSI500に絡むアウトパフォーム狙いの取引も過去の水準に比べ妙味があるとみる。

「ここ数カ月、中国A株の上昇を狙う戦略への投資家の関心が高まっている」とシン氏は指摘。「世界で最も売買が集中しているテーマの一部で、バリュエーションやリターン期待に疑問符がつき始めており、株式リターンの源を分散させたいという思惑が、背景の一つにある」と語った。

UBSの営業・トレーディング部門は8月30日、アジアで週間最大のデリバティブ取引フローは、中国の各CSI指数への強気の賭けだったと指摘した。CSI300とCSI500に集中した大口のロングスワップの引き合いが多数あり、上昇を見込むオプション戦略も伴っていたという。

投資家を引き付けているのは、中国の株価指数に占めるハイテク銘柄の比重の高まりでもある。政府がハイテク産業の自立を推し進める中、ハイテクはCSI300の構成比率で最大のセクターとなり、中小型のCSI500とCSI1000でも比率が高まっているとBNPパリバは分析する。

米国では4日、上場投資信託(ETF)「クレーンシェアーズCSIチャイナ・インターネットファンド」を対象に、あるトレーダーが強気のコールオプションを大量に買い付けた。今年前半の高値圏への回帰を見込んだ取引だ。

BNPパリバでアジア太平洋の株式・デリバティブ戦略を統括するジェイソン・ルイ氏は、「中国独自のエコシステムにより、中国本土市場は、他市場とは性質の大きく異なるAIエクスポージャーを提供している」と指摘。「ボラティリティーが比較的抑えられている点も、国内外の機関投資家による中期的な資産配分を後押ししている」とした。

原題:Traders Flock to Bullish Chinese Stock Bets for AI Alternative(抜粋)

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