(ブルームバーグ):日本銀行は今月の金融政策決定会合で政策金利を0.25ポイント引き上げ、1.25%とする公算だ。物価の上振れリスクが引き続き意識される中、利上げペースも柔軟に対応する。複数の関係者への取材で分かった。
外国為替市場で続く円安傾向を含め、引き続き消費者物価の上振れリスクを意識せざるを得ない情勢だ。一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率が2%に接近する中、サービスを含めた企業の積極的な価格転嫁が続いており、物価上振れリスクに対応する必要性が高まっているという。
関係者によると、9月に利上げしても、その後に追加利上げが必要になる可能性を日銀は排除していない。基調物価が2%から上振れることを防ぐには、利上げの影響を慎重に点検しつつ、経済・物価情勢に応じてペースも柔軟に対応する必要があるという。
日銀当局者は、これまでの経済・物価情勢はおおむね日銀の見通しに沿った動きとみている。関係者の1人は、市場の一部で観測が浮上している0.5ポイントという大幅な利上げが必要となるような大きな情勢変化はないとしており、利上げ幅を拡大する必要性は乏しい。
利上げに積極的なタカ派とされる高田創審議委員は2日、利上げのペースと幅について、従来の半年に1回や0.25ポイントではなく、機動的な対応が必要だと考えを示した。その上で、利上げは「結果として連続になることも、一般論としてはあり得る」とも述べた。
高田氏の発言以降、円は上昇傾向を強め、3日午後には対ドルで一時、前日のニューヨーク終値比1.5%高の156円36銭と8月3日以来の水準まで円高が進行した。ブルームバーグの報道後は上昇が一服し、午後5時50分現在は156円台後半で取引されている。
為替
為替を巡っては、日米の通貨当局が円安是正を狙いに協調して市場介入に踏み切った。介入を受けて円相場は、一時1ドル=155円台まで上昇したものの、円安圧力は依然として根強い。日銀では中東情勢やAI関連需要とともに、為替動向を政策運営上の点検項目に位置づけている。
これまでの円相場の下落が輸入物価の押し上げ要因になっており、一段の円安に伴うインフレ圧力の拡大も無視できない。市場が今月の利上げを織り込んでいる中で、見送った場合に円安が進み、物価の上振れリスクを高める可能性にも留意が必要だと関係者は指摘した。
日銀は前回の7月会合で政策金利を1.0%程度に据え置いたが、その後の日銀からの情報発信や日米協調介入、日銀の利上げに期待感を示すベッセント米財務長官の発言などを受けて17、18日の会合での利上げ観測が拡大した。
市場の関心はその次の利上げの時期とペースに移っている。9月に利上げが行われれば、前回の6月から3カ月ぶりとなり、従来想定の半年に1回程度から速まる。足元の金利スワップ市場では今月の0.25ポイントの利上げ確率が100%弱となっている。その次の利上げ時期は、今年12月までに80%程度、来年1月までを完全に織り込んでいる。
植田和男総裁は1日、米国で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議後の会見で、利上げについて今月を含めた毎回の会合で議論すると表明。高まる9月利上げ観測を打ち消そうとはしなかった。これに先立つ植田総裁との会談を踏まえ、ベッセント氏は「為替相場の過度な変動を回避するため、適切な金融政策の策定とコミュニケーションが重要」と踏み込んだ。
ブルームバーグが実施した調査によると、日本の消費者物価(生鮮食品を除くコアCPI)は、政府の物価高対策などで2%を下回って推移しているものの、今後は3%に向かって上昇率を高める可能性が大きい。輸入依存度が高い日本では、円安と原油価格の上昇がインフレ圧力を強め、経済に悪影響を及ぼすことが懸念されている。
(市場動向や詳細を追加して更新します)
--取材協力:小宮弘子.
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