(ブルームバーグ):27日の原油相場は反発。トランプ米大統領が6月にイランと締結した停戦合意の条件に戻る考えはないと仲介者に伝えたと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。ホルムズ海峡を通るエネルギー輸送が持続的に増えるとの見方に不透明感が強まり、原油の買い材料となった。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)10月限は、前日比1.30ドル(1.6%)高の1バレル=83.53ドルで引けた。一時約2.5%高となり、84ドル台に乗せる場面もあった。
国際指標の北海ブレント原油では、取引最終日を控える10月限は1.86ドル(2.1%)高の89.70ドル。取引がより活発な11月限は、1.8%高の88.52ドルで引けた。
WSJの報道を受け、ホルムズ海峡を巡るイランとオマーンの収益分配合意が、近く米国とのより広範な合意につながるとの期待が後退した。米国との合意が成立すれば、同海峡を通るエネルギー輸送が増えるとみられていた。
ペルシャ湾岸諸国は緊張緩和に向け、活発な外交を展開している。カタール外務省によると、同国のムハンマド首相とイランのガリバフ国会議長は、米国との協議再開に向けた「適切な条件」を整える方策について話し合った。
ただイラン政府は、ホルムズ海峡を巡る合意が直ちに通航再開を意味するわけではないと繰り返し説明している。同海峡はイランと米国の対立の焦点となっている。
ホワイトハウスのレビット報道官は27日朝、米国はイランと交渉しておらず、イランの港湾に対する海上封鎖も継続すると記者団に述べた。
MSTマーキーのシニアエネルギーアナリスト、ソール・カボニック氏は「停戦を巡ってはこれまで何度も期待が裏切られており、市場は先走って動くことに慎重になっている」と指摘した。
原油価格は年初来で45%超上昇している。米国とイスラエルが2月末に始めた紛争が半年に及び、ペルシャ湾からの供給が滞ったことが背景にある。ただ今週は、イランとオマーンの協議に加え、米国の対イラン経済措置が予想ほど厳しくなかったことから、原油価格は下落している。
ペルシャ湾からの原油輸送は進んでいるもようだ。貨物輸送の動向に詳しいトレーダーらの推計によると、世界の石油輸送の要衝であるホルムズ海峡を現在、日量600万—800万バレルの原油が通過している。輸送量の増加が、世界の原油価格を抑える要因となっている。
衛星画像によると、サウジアラビアはペルシャ湾内で原油の積み出しを増やしている。イエメンの親イラン武装組織フーシ派が紅海経由の輸出を脅かす中、世界最大の原油輸出国であるサウジが輸送ルートを切り替えつつあることを示している。
ただ、リスクは残っている。英国海事貿易機関(UKMTO)によると、25日にホルムズ海峡でタンカーが正体不明の飛翔体による攻撃を受けた。この事案について、現地当局が調査しているという。
原題:Oil Rises on Fresh Doubts Over Outlook for US-Iran Diplomacy(抜粋)
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