ベッセント米財務長官が国債管理で従来より積極的な姿勢を示していることを受け、ウォール街では今後数カ月で政府の資金調達戦略が一段と大きく転換する可能性を想定した検討が進んでいる。

ドイツ銀行やモルガン・スタンレー、シティグループによると、大胆な選択肢の1つは長期債の発行削減だ。より可能性が高いのは、財務省が11月4日公表の四半期定例入札計画で、今後の借り入れ増加分を財務省短期証券(Tビル)や償還期間の短い中期債で賄う方針を示す一方、長期金利への圧力を和らげるため買い戻しをさらに拡大することだ。

こうした見直しの動きは、長年にわたり規則的で予測可能とされてきた米国の政策分野に、ベッセント氏の対応が不確実性をもたらしていることを示す。バンク・オブ・アメリカ(BofA)で米金利戦略担当マネジングディレクターを務めるメーガン・スワイバー氏は、債券市場が米国債管理の「全く新しい世界」に入りつつあると述べた。

BMOキャピタル・マーケッツの米金利戦略責任者イアン・リンジェン氏は、ベッセント氏の一連の動きによって「11月の定例入札計画発表は、通常以上に大きな不確定要素になった」と指摘。「国債入札額の削減も、もはや排除できない」と述べた。

現時点でベッセント氏は定例入札計画の変更を否定しており、少なくとも次回の四半期定例入札計画までは現在のスケジュールを維持するとしている。ただ、先週発表した買い戻し制度の刷新を「米財務省版ツイスト」と呼んだことで、31兆ドル(約4900兆円)規模の米国債市場にとって11月の発表の重要性が一段と高まった。

スティーブン・ゼン氏率いるドイツ銀行のストラテジストによると、財務省は第1段階として、長期ゾーンの買い戻し規模を当初示した最低40億ドルから拡大する可能性がある。当局が実施前日まで規模を明らかにしないことも考えられ、そうなれば「買い戻し制度の予測可能性が低下すると同時に、投資家が長期債を空売りするハードルが大幅に高まる」という。

いずれにせよ、買い戻しの拡大だけで政府債務の償還期間を大きく変える効果は見込みにくい。米連邦準備制度理事会(FRB)と異なり、財務省は買い入れ資金を賄うために通貨を創出することができない。このため買い戻しの資金は最終的に、追加の国債発行(最も可能性が高いのはTビル)か、財務省一般勘定(TGA)の資金で賄う必要がある。

モルガン・スタンレーの金利ストラテジスト、マーティン・トビアス氏は「買い戻しの拡大自体は、11月の四半期定例入札計画までの単なるつなぎとなる可能性が高い」と指摘。「最終的に市場を動かすのは、財務省が加重平均償還年限をどのような方法で短期化するかだ」と述べた。

トビアス氏は、財務省が長期債の発行額を維持する一方、期間の短い中期債の発行を段階的に増やすと予想。ただ、長期債の入札額を実際に削減するリスクはこの1週間で高まったと指摘した。

財務省は直近の四半期定例入札計画で、指針をわずかに変更していた。従来は利付債と変動利付債の発行について将来的な「増額」の可能性を検討しているとしていたが、今回は将来的な「変更」の可能性を検討しているとした。アナリストらは、これによって財務省が長期債発行を減らす余地が広がったと分析している。

同省の担当者はコメントを求めるメッセージに返答しなかった。

原題:Bessent ‘Treasury Twist’ Has Wall Street War-Gaming a Debt Shift(抜粋)

--取材協力:Ye Xie.

もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp

©2026 Bloomberg L.P.