(ブルームバーグ):高級ブランド品など国内外の富裕層によるラグジュアリー消費が活発で、日本の百貨店株を押し上げている。
年初来の大手百貨店グループ株は58%高の三越伊勢丹ホールディングスをはじめ、高島屋が52%高、エイチ・ツー・オーリテイリングが48%高、J. フロントリテイリングが43%高といずれも東証株価指数(TOPIX)の21%高、TOPIX小売業指数の3%高を大きく上回る(26日時点)。過熱感や過剰投資への懸念でAI関連株人気が一服し、他の投資対象を再評価する動きも好パフォーマンスの一因だ。
新型コロナ禍で落ち込んだ百貨店の業績はここ数年、訪日客数の回復や国内の賃上げ効果などで改善傾向にある。25日に日本百貨店協会が公表した7月の全国百貨店売上高も7カ月連続で前年比プラスとなり、インバウンド(免税売り上げ)は2カ月連続で20%超の伸びを記録。商品別ではラグジュアリーブランドのバッグなど身の回り品、高額時計など雑貨が好調だった。
ラグジュアリー消費が好調な背景には、世界的な株価や不動産価格の上昇などで国内外富裕層の懐が潤っていることが挙げられる。実際、フランスの高級ブランドであるシャネルの2026年上期の売上高は約16%増えた。一方、日本の4-6月期国内総生産(GDP)のデータは長期化する物価高の影響で個人消費の落ち込みを示し、消費の二極化が深まっている可能性がある。
インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジストは「株式の上昇に伴い資産効果が生まれ、富裕層中心に消費が活発化する恩恵を一番受けやすい銘柄が百貨店」だと指摘した。
伊藤忠総研の武内浩二マクロ経済センター長は足元の百貨店株の好調について、AIや半導体関連株が急騰後に調整入りし、「成長株と百貨店のようなバリュー株との間でバランスの取れた資金シフトが見られる」と分析する。
昨年11月に高市早苗首相が行った台湾有事を巡る発言に反発した中国からの旅行者は大幅に減っているものの、欧米や他のアジア地域からの訪日客の拡大でインバウンド消費は底堅く推移している。
大和証券は20日、国内需要の強さと利益成長への期待から高島屋の目標株価を2300円から2600円に引き上げた。投資判断は「2(アウトパフォーム)」を継続。重岡絵美里アナリストは、三越伊勢丹についても「富裕層を中心とした好調な売り上げ」を反映し、同証による業績予想を上方修正した。
もっとも、消費者心理はインフレに対し脆弱(ぜいじゃく)だ。不透明感の続く中東情勢を背景にエネルギーや原材料価格が高止まりし、最終製品の値上げが続いた場合には百貨店の収益もダメージを受けかねない。
インベスコの木下氏は、株価の上昇が富裕層世帯に継続的な消費の自信を与えているため、「百貨店株の今後の見通しは株式市場全体の動きに左右される」と予測した。
--取材協力:アリス・フレンチ.
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