米金融市場では今週、エヌビディアの決算発表とジャクソンホール会議でのウォーシュ米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が大きな注目材料となっているが、株式デリバティブ市場では早くも、11月の米中間選挙を巡るボラティリティー上昇に備える動きが出ている。

「恐怖指数」と呼ばれるシカゴ・オプション取引所(Cboe)のボラティリティー指数(VIX)先物市場では、選挙前後のS&P500種株価指数の値動きに備え、ヘッジ需要が高まっていることがうかがわれる。9月限のVIX先物は17.4前後だが、10月限は19、11月限は19.7に上昇している。

リトル・ハーバー・アドバイザーズの共同ポートフォリオマネジャー、マシュー・トンプソン氏は、VIX先物について「中間選挙が意識される時期に入りつつあり、選挙時期にかけて水準を切り上げている」と述べた。

市場が選挙前後の株価変動に身構えるのは、中間選挙の年は政治的な不透明感を背景に、歴史的にボラティリティーが高まりやすい傾向があるためだ。

Cboeグローバル・マーケッツのアナリストによる調査では、1945年以降、中間選挙の年のボラティリティーが、その前年を上回ったケースが80%に上り、上昇幅は平均3.5ポイントだった。大統領と上下両院を同じ政党が支配している年では、平均6ポイント上昇する。

S&P500種のパフォーマンスも中間選挙の年は振るわない傾向があり、平均リターンは4%、中央値はわずか1%だった。

今年は過去の中間選挙の年と比べても、市場への影響が大きくなる可能性がある。株高を支えてきたAIデータセンターの建設計画に対し、民主、共和両党内で反発が強まっているためだ。

焦点は議会選挙だけではない。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のマイケル・ハートネット氏率いるストラテジストは、特にテキサス州のアボット知事(共和党)が再選されるかに注目している。民主党が上院とテキサス州知事職をともに奪取すれば、来年の株式相場は10%超下落すると予想した。

Cboeの主要取引所では最近、投票日とその翌日に満期を迎えるS&P500の日次オプションが上場し、市場参加者やストラテジストが選挙に伴う相場の予想変動を把握できるようになった。足元では、選挙翌日の11月4日にS&P500種が1日で約1.4%動くとの見方を織り込んでいる。

さらに、トランプ大統領とベッセント財務長官が選挙を前に株高を維持しようとするとの観測も、市場の構図を複雑にしている。

データ会社スポットガンマの共同創業者ブレント・コチュバ氏は「トランプ氏とベッセント氏は相場を押し上げようとすると考えていい」と話す。ウォーシュFRB議長が、債券市場の安定化を目指す財務長官の取り組みに同調する姿勢を示すだけで、投資家にはリスク選好のシグナルになるとし、「ベッセント氏とトランプ氏に逆らうな、ということだ」と述べた。

米株のボラティリティーは例年、秋に高まりやすく、VIX上昇の背景には選挙に加え、「季節要因もある」とコチュバ氏は述べた。

いずれにせよ、VIX先物のカーブが上昇基調となる一方で、オプション市場関係者は、株価変動に備えたヘッジを低コストで確保できる好機だと指摘している。VIX指数は24日、15.8で取引を終え、長期平均の19.4を大きく下回った。

コチュバ氏は「今は保険が非常に安い。保有株をヘッジする必要があるなら、オプションを持つのに適した局面だ」と語った。

原題:VIX Curve ‘Bump’ Shows Stock-Market Anxiety Growing by Midterms(抜粋)

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