この夏、5回の熱波に襲われた英国のロンドンで、地盤沈下の恐れが生じている。市内の大半の住宅が建っている粘土質の土壌が乾燥して収縮し、建物が不安定化するリスクがかつてなく高まっている。

英国保険協会の(ABI)が提供したデータによると、地盤沈下に関連する保険金の平均請求額は4-6月(第2四半期)に四半期として過去最高を記録した。このリスクに対する請求額は1世帯当たり平均2万ポンド(約434万円)に上り、前年同期に比べ15%増加した。

ABIの損害保険部門責任者であるローラ・ヒューズ氏は、この増加傾向は今後も続く可能性が高いと指摘。「猛暑の影響で、地盤沈下の事例はさらに増えると見込んでいる」とインタビューで語った。

ロンドン市民はソーシャルメディアで不安や驚きを吐露している。掲示板サイトのレディットには、地盤沈下で自宅に「恐ろしいほどのひび割れ」が生じた、「ドアが開かなくなった」などの体験談が寄せられている。ある投稿では、家の基礎がずれて台所が動いたことに気づき、「本当に怖かった」とつづられている。

助けを求めて連絡した建設業者の反応について書かれた投稿もある。「自分が説明を終える前に相手は笑い出し、『あなたのような状況の人は、ロンドン南東部だけでほかに2万人いますよ』と言われた」という。

地盤沈下による被害の修復依頼が絶えず舞い込んでいるという土木会社Geobearのオッツォ・ラハティネン最高経営責任者(CEO)は、「今起きていることは、常軌を逸している」と語った。「だが、新常態なのだろう。今後20-30年でさらに頻繁に起こるようと思われる」と続けた。

英保険大手アビバのデータによると、ロンドンで最もリスクが高いのは、ウェストミンスターやケンジントン・チェルシーなど、最も人気の高い地域が含まれる。

地盤沈下は数十年にわたりロンドンの住宅に影響を与えてきたが、気候変動によって状況は悪化している。ロンドンの粘土はとりわけ土壌中の水分量の変化に影響を受けやすく、湿ると膨張し、乾くと収縮する。

英国の地盤沈下リスクは、ロンドンとその周辺、イングランド南東部の一部に集中している。ABIのデータによると、地盤沈下による損害の保険金支払額は2025年までの4年間で約90%増加し、過去最高の2億9700万ポンドに達した。

原題:London Homes Are Cracking and Shifting Due to Unrelenting Heat(抜粋)

--取材協力:Neil Callanan.

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