日本の金融銘柄で出遅れが鮮明な保険株は、有力視されている日本銀行の早期利上げを受けて債券利回り急騰が落ち着けば銀行株に追いつく可能性がある。

今週は日米で市場金利の上昇が際立ち、長期金利(10年国債利回り)は約30年ぶり、米30年債利回りは約20年ぶりの水準を付けた。この下で債券含み損が一時的に膨らむ保険株は見送られがちで、東証株価指数(TOPIX)の保険業は月初来で7.7%低下と33業種で最下位だ。貸出金利が預金金利より先んじて上がる銀行業はほぼ横ばい。保険株の評価には市場金利の安定が必要だ。

債券利回りの上昇は保険会社にとって「もろ刃の剣」になる。利回り上昇で債券運用環境は好転する一方、足元のような急な利回り上昇は債券含み損の拡大につながり、財務にも影響を及ぼしかねない。

岩井コスモ証券の林卓郎投資情報センター長は、保険会社は超長期債の有力な投資主体で金利が上がれば妙味は増してプラスに働くと述べた。同時に米国からのプレッシャーやビハインド・ザ・カーブ(政策が後手に回る)懸念を含めて「何かに迫られて、あまりにも金利が上がるのも、あんまりよろしくない」と指摘した。

保険会社は保険契約者に対する長期負債と期間を合わせるため、20年以上の超長期国債を保有する傾向がある。一方で銀行は貸出金利に影響を与えるより短い利回りの変化に対して敏感だ。このデュレーション・リスク(金利変動リスク)期間の違いが保険業と銀行業の指数の差に出ている。

東京海上グループのロゴ

現時点で金融市場が織り込む1.25%への日銀利上げ確率は、次回の9月会合で70%前後、次々回の10月会合を含めると100%を超えており、市場は10月までの利上げを織り込んでいる。

利益確定

投資会社アルファ・ビンワニ・キャピタルの創業者、アシュウィン・ビンワニ氏は、「満期保有予定の有価証券でも、多額の含み損は経済価値ベースの純資産を減少させ、経営の柔軟性を制約する可能性がある」と述べた。その上で「東京海上ホールディングスの買い持ちポジションを取っていたが、利益を確定した」と語った。日銀が利上げして利回りが安定する場合など、戦略的により低い水準で再び投資する考えだ。

内閣府が17日発表した4-6月期実質国内総生産(GDP)速報値は予想ほど伸びず、日銀の利上げに必ずしもフォローではない。同時に円相場が日米協調介入にもかかわらず対ドルで158円台と円安水準が続いており、トレーダーやエコノミストは日銀が利上げペースを速めるかどうかを注視している。さらに利上げを踏まえて、市場金利の急上昇が実際に止まるかどうかも保険株の先行きにとって見逃せない。

三井住友DSアセットマネジメントの市川雅浩チーフマーケットストラテジストは、「債券利回りが比較的高い水準で落ち着いてくれれば、かなり見直し買いにつながりやすい」と指摘。金利の上昇は「運用利回りの向上というか、改善の材料になる」と述べた。

債券利回りの先行きを巡って、目先の試金石となる可能性があるのは20日の20年国債入札で、投資家は債券需要を見極めることになる。

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