金利高止まりで株価も軟調
8月14日の米国株式市場は、7月の小売売上高が低調な結果だった上に、長期金利が上昇したことで、軟調な展開となった。米国の主要経済指標については、インフレや景気の過熱を示すものはなく、FRBの利上げ観測は大きく後退している。しかし、米長期金利が高止まりしているため、株価が押し上げられにくくなっている。
一方、米国のファンダメンタルズも堅調とは言い難い。労働市場がやや弱めの推移になる中で平均時給の伸び率は鈍化傾向が続いているため、実質賃金の低迷が個人消費を抑制している。これまでは株高による資産効果が消費を支えてきたが、AI・半導体ブームが株価を大きく押し上げる展開は一巡している。株価は方向感が出にくい状況が続くだろう。
リスクプレミアムによる長期金利の上昇圧力が強い
8月14日の米国債券市場では、小売売上高が弱めの結果になったのにもかかわらず、長期金利が上昇した。長期金利は前日差+4.9bp、2年金利は同+2.7bpだった。
10年実質金利が同+2.3bp、10年インフレ予想(BEI)が同+2.5bpとなった。FF金利先物市場が織り込む9月の利上げ確率は31.8%となり、前日の35.0%から一段と低下した。利上げ観測が後退しているのにもかかわらず、長期金利が上昇しており、債券市場の地合いの悪さが窺える。
この日はBEIが上昇したものの、6月下旬以降は概ね2.2~2.3%のレンジ推移となっており、インフレ懸念が強くなっている様子はない。他方、10年実質金利は6月末から20bp程度上昇した。実質金利はFRBの利上げ観測と連動して動く傾向があるが、前述したように足元では利上げ観測は後退している。そのため、実質金利は何らかのリスクプレミアムによって押し上げられていることになる。具体的には、①財政リスクの高まりや、②需給悪化といった要因が想定される。
このうち、①財政リスクについては、高金利環境が利払い費を増加させている面があり、低下させることは容易ではない。他方、②需給悪化については米国債の発行増というよりはハイパースケーラーの社債の発行増が要因とみられ、政府ができることは多くないだろう。長期・超長期債のリスクプレミアムの拡大に対して政府・中央銀行ができることとしては、財務省による長期・超長期債の発行抑制や、中央銀行による国債買い入れの拡大がある。
前者についてはすでに発行抑制が進められており、更なる需給改善は容易ではないだろう。他方、中央銀行の国債買い入れについては、ウォーシュFRB議長がFRBのバランスシートを拡大することを嫌っていることがネックとなりそうである。
このように考えると、現時点では長期・超長期債の需給が改善して金利低下圧力が強まるという予想を立てにくい。このような状況に鑑みると、ベッセント財務長官が日本の為替介入を容認し、協調介入に踏み切ったことにも頷ける。米金利を低下させる妙案はない状況で、円金利まで上昇してしまうのは避けるべきであるという判断だったのだろう。