トランプ米大統領のソーシャルメディア企業は、トランプ氏のSNS「トゥルース・ソーシャル」への投稿をいち早く取得できる新たな有料サービスを開始した。ウォール街の「乗り遅れへの不安(FOMO)」に訴え、売り込みを展開している。

トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループはこれまで、暗号資産(仮想通貨)や予測市場といったウォール街の流行に乗ってきた。今度は、同社で最もフォロワー数が多く、筆頭株主でもあるトランプ氏を収益源として活用しようとしている。

新サービス「トゥルースAPI」には、高速取引会社を中心に10社余りが既に契約済みだ。個人投資家や報道機関、大規模言語モデル(LLM)の開発会社など、より幅広い顧客への販売も計画している。同社幹部が今週、投資家やアナリストに説明した。

成功すれば、トゥルースAPIはトランプ・メディアにとって待望の収益源となる可能性がある。同社は保有する暗号資産が昨年から下落基調となる中、赤字が拡大している。

10日に発表した4-6月(第2四半期)決算では、純損失が2億3800万ドル(約380億円)と、前年同期の2000万ドルから大幅に拡大した。トゥルースAPIの新規契約は8月1日に始まったため、その影響は今回の決算には反映されていない。

ケヴィン・マクガーン暫定最高経営責任者(CEO)は10日のアナリスト向け説明会で、「現在の市場環境のほか、事業やステークホルダーの優先事項の変化を踏まえ、慎重に判断して方針転換を決めた」と説明。「今後の資本配分でも、こうした機動的な対応を続ける」と述べた。

これまでのところ、トランプ・メディアはウォール街のトレーダーの競争心に訴えている。非公開情報だとして匿名を条件に事情に詳しい関係者が明らかにしたところによると、営業担当者の一人は、他社との協議が進んでいると見込み顧客に強調していた。

その売り込みの電話では、政策変更や市場を動かす可能性のある情報をトゥルース・ソーシャルで頻繁に予告するトランプ氏の名前には直接言及しなかった。ただ、同サービスの重要なユーザーの一人が特に活発に投稿しているとの説明があった。

こうした売り込みは、同社の営業メールとも重なる。ブルームバーグ・ニュースが先に報じたところでは、メールは「同業他社の多くがこのサービスの導入を進めている」と記していた。利用料は月額6万-10万ドル。

APIは、コンピューターやソフトウエア同士で情報をやり取りするための仕組みで、さまざまな業界に欠かせないツールとなっている。トランプ・メディアによれば、アルゴリズム取引業者は既にトゥルース・ソーシャルのデータを自動取得している。新サービスは同じ情報を、より迅速に機械可読形式で提供する。

反発と異論

ただ、トランプ・メディアの新事業は、連邦準備制度や米労働統計局(BLS)などワシントンの政府機関による市場を動かす情報の扱いとは大きく異なる。

既に法廷闘争にも発展している。報道機関インターセプト・メディアとNPO法人「報道の自由財団」は12日、計画の差し止めを求めニューヨークの裁判所に提訴した。大統領が政府情報の販売によって利益を得るのは違憲だと主張している。

民主党議員もトゥルースAPIを問題視している。ルベン・ガイエゴ、マーク・ウォーナー両上院議員は、政府職員のSNS投稿への高速アクセスを企業が販売する行為を禁止する法案を提出した。イーロン・マスク氏のXなど他のプラットフォームも、ユーザーの投稿を配信するAPIを提供している。

トランプ氏はトランプ・メディアの筆頭株主で、11億ドル相当の株式を、息子のドナルド・トランプ・ジュニア氏が管理する撤回可能な信託を通じて保有している。

同社は不正行為との指摘を否定。今回の訴訟についても、「左派活動家」がトランプ氏を検閲し、同社の株主に損害を与えようとしていると主張している。

担当者は発表資料で、「トゥルースAPIは、一般公開されているトゥルース・ソーシャルの投稿を迅速に取得したい組織にとって、情報取得までの時間差を縮めるものだ。非公開情報にアクセスできるとの指摘は事実に反する」とした。

一部の取引会社は既に契約したが、自社の取引手法には必要ないとして利用料を支払わない意向を示す会社もある。非公開情報だとして匿名を条件に事情に詳しい関係者によると、ハドソン・リバー・トレーディングやシタデル・セキュリティーズなどは契約に消極的だ。

両社の担当者はコメントを控えた。ブルームバーグ・ニュースの親会社ブルームバーグLPも、金融会社向けにリアルタイムのデータやニュース配信サービスを提供している。

原題:Trump Media Plays on Wall Street FOMO to Pitch Truth Social API(抜粋)

--取材協力:Steven T. Dennis、Nicola M White.

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