(ブルームバーグ):韓国は来年、AIなど戦略産業に投資する新たな政府系ファンド(SWF)に1兆ウォン(約1120億円)超の資金を投入する見通しだ。各国政府がハイテク分野で優位に立とうと資金を動員する中、韓国も世界的な投資競争に加わる。
韓国財政経済省のミン・ギョンソル革新成長室長は11日、「詳細には踏み込めないが、来年の投資額は6000億ウォンから1兆ウォン超になる可能性がある」と述べた。投資先や必要資金に応じて、最終的な投資額は当初想定を上回る可能性もあるという。ブルームバーグテレビジョンのインタビューで明かした。
ミン氏によると、世界的なAIブームを支える主要企業となっているサムスン電子とSKハイニックスに、現時点でファンドが直接投資する計画はない。
韓国政府は先月、韓国投資公社(KIC)に20兆ウォンを投入し、AIやデータセンター、インフラに投資すると発表した。ミン氏によると、新ファンドはKICによる従来の外貨準備運用とは別に、戦略投資を担う。
投資対象にはロボティクスやエネルギー、電池に加え、送電網などのインフラも含まれる。原子力や宇宙、量子技術も検討対象となっている。
中東と欧州、北米の政府系ファンドや年金投資家からは既に、韓国への投資や新ファンドとの共同投資について政府に打診があるという。協議は初期段階にあるとして、ミン氏は個別の投資家名を明らかにしなかった。
新ファンドは創業初期段階を脱した企業を中心に投資する。特に、事業モデルが確立し、シリーズB以降の資金調達段階に入った企業を対象とする。他の投資家が撤退する際に企業やプロジェクトの持ち分を取得する可能性もある。ミン氏はこうした手法を「リレー投資」と表現した。
昨年末時点で2320億ドル(約37兆円)を運用していたKICは、新ファンドを従来の運用とは切り離して運営する。独自の投資戦略と運用方針を設けるという。海外にのみ資金を振り向ける既存の外貨準備運用とは異なり、新ファンドは国内外で長期の株式直接投資を行う。
世界の政府系ファンドがAI関連投資に振り向ける資金を増やす中での動きとなる。アブダビのムバダラ・インベストメントは、日本でデータセンターを建設するため1兆円を投じる案を検討している。シンガポールのテマセク・ホールディングスは、データセンター向け光接続製品を手掛ける深圳市愛徳泰科技に対し、新規株式公開(IPO)前の投資を視野に入れている。
ミン氏は「さまざまな形の公的ファンドが運営されているのは事実で、このファンド独自の明確な役割を確立する方法を積極的に探っている」と述べた。
海外投資では、韓国の戦略的サプライチェーンの強化に必要な重要鉱物や資源などを対象とする。国内のファンドや専門投資家と共同で投資する可能性もあるという。
ミン氏は、政府はファンドの運営委員会を通じて大まかな戦略的優先事項を定めるにとどめ、個別の投資や資産配分はKICの取締役会と投資委員会が決定すると強調した。政府が個別案件に介入することはないという。
「韓国への投資を呼び込み、世界の有力投資家と共同投資するアンカー投資家の役割を担う政府系ファンドの設立を目指している」とミン氏は述べた。
原題:Korea Sovereign Wealth Fund to Join Global Race for AI, Robotics(抜粋)
--取材協力:Soo-Hyang Choi、Joanne Wong.
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