(ブルームバーグ):トレンド追随型の投資家による世界の債券に対するショート(売り持ち)が過去最大となり、今週発表される米インフレ指標の重要性が増している。
UBSグループのデータによれば、資産価格のモメンタムを利用して利益を狙う商品投資顧問業者(CTA)は7月末時点で、債券のアンダーウエート・ポジションを2週間前の3倍に拡大した。その後、こうしたポジションはほぼ変わっておらず、CTAの取引が売りに大きく偏る中、今後発表される消費者物価と生産者物価をきっかけに債券相場が上昇すれば、打撃を受けるリスクがある。
UBSのストラテジスト、ニコラ・ル・ルー氏によると、指標発表を前に、CTAは10年債利回りが1ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)動くごとに約3億ドルの利益または損失が生じるポジションを抱えている。UBSが1990年にデータ集計を開始して以来、最大のエクスポージャーだ。
世界の国債利回りはここ数カ月、原油価格の高止まりや中央銀行による利上げ観測、政府借り入れ急増への懸念を背景に、じりじりと上昇している。米30年国債利回りは先月、2007年以来の高水準に達し、その後も同水準付近で推移している。ホルムズ海峡を巡る米国とイランの対立で原油価格が高止まりしているためだ。30年債利回りは11日、約5.25%で取引を終えた。
こうした債券安を受け、運用資産総額が4000億ドル超と推定されるCTAは、このトレンドに沿った取引を積み増している。ただ、ポジションの偏りにより、債券相場が上昇し始めた場合、CTAが急激な巻き戻しにさらされるリスクがある。
UBSの米金利戦略責任者、フィービー・ホワイト氏は「売り持ちをさらに積み増す余地はあまりない」と指摘。「明らかにリスクは非対称だ」とし、相場下落時に売り持ちを積み増すより、上昇時に売り持ちポジションを解消する可能性の方が高いと述べた。
大きな試金石となるのが12日だ。同日発表の消費者物価指数(CPI)は、早ければ9月の米利上げ観測を強める可能性も弱める可能性もあり、トレーダーがポジションの見直しを迫られることも考えられる。金利スワップ市場では、9月に0.25ポイントの利上げが実施される確率について、ほぼ五分五分とみられている。
ホワイト氏と同僚は7日、雇用統計が予想を下回ったことを受け、顧客に米2年国債の購入を推奨した。ホワイト氏はインフレがピークを付けた兆しとともに、売り持ちに偏ったポジションも強気判断を支える要因として挙げた。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストもCTAの弱気なポジションを確認しており、特に年限の短い国債で依然として「大幅な売り持ち」だと指摘し、12日のインフレ指標は特に重要だとした。
メーガン・スワイバー氏らBofAのストラテジストは10日付のリポートで「9月利上げを裏付けない数字となれば、弱気に偏ったポジションが揺さぶられる可能性がある。特にCTAの大規模な売り持ちと、アクティブ運用ファンドのアンダーウエートが重なっていることを踏まえればなおさらだ」と述べた。
原題:Trend-Chasing Funds’ Big Short on Bonds Raises Stakes for CPI(抜粋)
--取材協力:Elizabeth Stanton.
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