・2026年夏は最高気温40℃の酷暑日予想。急務となる確実な熱中症予防。
・有効な対策は、軽い運動や入浴で体を暑さに慣らす「暑熱順化」である。
・我慢は禁物。適切なエアコン活用と水分・塩分補給の徹底が不可欠である。

2026年夏の気温・熱中症傾向予想

日本気象協会は、2026年夏の気温傾向について、7月から8月の気温は、東日本や西日本、沖縄・奄美で平年より高い見込みと公表している。梅雨明け後は一段と厳しい暑さとなり、最高気温40℃以上の「酷暑日」となる地域も相次ぐと予想される一方で、9月の気温は、平年並みの所が多いと予想されている。

全国の暑さ指数は、7月から8月にかけて広い範囲で高い水準となる見込みであり、7月平均では、関東から沖縄にかけて「厳重警戒」ランクとなり、東北や北陸でも、日によっては「厳重警戒」に達する可能性がある。

8月平均では、東北から沖縄にかけて広く「厳重警戒」となり、内陸部を中心に一部の地域では「危険」ランクに達する見込みである。また、北海道でも、日によっては「警戒」または「厳重警戒」となる可能性がある。9月平均では、関東から九州にかけて広く「警戒」ランクとなる見込みである。東北や北陸においても、日によっては「警戒」ランクに達する可能性があり、初秋に入っても引き続き熱中症への注意が必要である。

熱中症のメカニズムと予防のポイント

「熱中症」とは、高温多湿な環境下で体温調節機能が正常に働かなくなることにより、体内に熱が過剰に蓄積し、さまざまな健康障害を引き起こす状態である。通常、人の体は、汗をかいたり、皮膚の血管を拡張して熱を放散したりすることで体温を一定に保っている。しかし、気温や湿度が高い環境では汗が蒸発しにくくなり、十分に熱を逃がせなくなる。また、大量の発汗によって水分やナトリウムなどの電解質が失われることで、体液のバランスが崩れ、体温調節機能がさらに低下する。この結果、めまい、立ちくらみ、筋肉のけいれん、頭痛などの初期症状が現れ、重症化すると意識障害やけいれん、多臓器障害を伴う熱射病へ進行し、生命に関わる危険な状態となる。そのため、熱中症は発症後の治療だけでなく、適切な水分・塩分補給や直射環境を避けるなど、予防が極めて重要な疾患である。

近年、熱中症予防のポイントとして、「暑熱順化(しょねつじゅんか)」が注目されている。暑熱順化とは、体が暑さに徐々に慣れ、体温調節機能が向上した状態をいう。暑い環境で適度な運動や入浴などを継続すると、発汗機能や皮膚血流が改善され、体内の熱を効率よく放散できるようになる。その結果、体温の上昇が抑えられるとともに、汗に含まれる塩分濃度も低下し、水分や電解質の損失が少なくなるため、熱中症のリスクが軽減される。

暑熱順化には一般的に数日から2週間程度を要するとされ、梅雨明け前後や急激な気温上昇時には十分な順化ができていない人ほど熱中症を発症しやすい。特に高齢者や運動習慣のない人は暑熱順化に時間を要するため、ウォーキングや軽い運動、ぬるめの入浴などを日常生活に取り入れ、無理のない範囲で暑さに体を慣らしておくことが重要である。

なお、エアコンを使用せずに熱中症で搬送される事例が散見されるが、暑さに体を「慣らす」ことと、「我慢する」ことは全く別である。気温が高い日には、無理をせずエアコンを適切に使用し、室内環境を快適に保つことが熱中症予防には重要である。

2026年夏も厳しい暑さが予想されるなか、今夏は「暑熱順化」を意識した早めの備えを実践するとともに、日頃から暑さに負けない体づくりを心掛けたい。

(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛 )