■要旨
新NISAでは証券会社を通じた口座開設が多い一方、口座開設後の利用実態は金融機関によって異なる可能性がある。本稿は番外編として、金融庁と日本証券業協会の公表データを基に、証券会社と非証券会社に分けてNISA口座の利用状況を比較した。
7割超が証券会社で開設
まず、NISAの口座数は2025年末時点で2,820万に達しているが、うち2,025万が証券会社(以下、証券)で開設されている。制度自体がスタートした2014年から証券で口座開設する人が多かった中、老後2,000万円問題をきっかけに2020年以降、証券を中心に口座開設がさらに進み、証券の口座シェアが上昇した。新NISAがスタートしてからもその流れが続いており、2024年には7割を上回っている。
特に、若年層ほど証券で口座開設する傾向が顕著である。年代別に見ると、証券のシェアが「20歳代以下」、「30歳代」で80%を超えている。その一方で、年齢が上がるほど証券のシェアが低下しており、「60歳代」と「70歳代」では6割を下回っている。
非証券は、つみたてに偏重
次に、投資枠の利用状況を見ると、証券と非証券で傾向が異なることが分かる。非証券では、つみたて投資枠のみで買付を行っている口座が60%を占め、証券の35%と比べて高い割合となっており、すべての年代でその傾向が見られている。

このように、非証券ではつみたて投資枠のみの利用が多いこともあり、少額利用の口座が多い。2025年に買付額が120万円以下の口座の割合が84%を占め、証券の63%を上回っている。それに対して、300万円以上の口座の割合は4%と、証券の11%の半分以下となっている。
非証券の稼働率が高い
また、制度の課題となっている未稼働口座の状況を見ると、非証券では2025年に買付がなかった口座の割合が33%となっており、証券の38%を下回っている。先述した通り、非証券ではつみたて投資枠の利用が中心となっているが、旧制度のつみたてNISA時代から非証券は証券と比べて未稼働口座が少ない傾向があり、新NISAになってもその傾向が続いているといえる。
年代別に2025年の未稼働口座の割合を見ても、すべての年代で非証券の方が低く、特に40歳代から60歳代でその差が顕著である。もっとも、証券のなかで未稼働口座の割合が最も低い30歳代については証券と非証券で差が小さくなっている。

おわりに
NISA口座は、証券で開設した方が投資信託だけでなく上場株式など、買付できる商品が多い。また、ポイント還元が魅力的なクレジットカードでの投信積立も証券、主にネット証券に限られている。特に若年層はデジタルサービスに抵抗がないこともあり、ネット証券での口座開設が進んでいると思われる。
非証券は主に銀行だと推察されるが、銀行は取扱商品が投資信託に限られるものの、預金口座からの自動引き落とし(口座振替)で買付けることができる。いわば定期預金の延長線上でNISA口座を利用することができるため、つみたて投資枠のみで少額ながらも稼働率が証券より高くなっていると考えられる。
(※情報提供、記事執筆:ニッセイ基礎研究所 金融研究部 上席研究員 前山 裕亮 )

