(ブルームバーグ):米軍は15日、イランに対する追加空爆を実施した。これに先立ち、トランプ米大統領は、イランがホルムズ海峡での船舶攻撃を停止し、同海峡の航行再開に応じるまで、空爆を強化し続ける考えを示した。
米軍はイラン時間15日午後、ホルムズ海峡に近いペルシャ湾の大トンブ島で、ミサイルの貯蔵施設や発射拠点を標的に約90分間にわたる攻撃を実施。米中央軍によると、その後、米東部時間午後3時(日本時間16日午前4時)にも第2波の攻撃を行った。
米国による攻撃は5日連続となった。14日夜にも複数の軍事目標を攻撃し、これを受けてイランはクウェートやバーレーンなど湾岸アラブ諸国にある米軍基地への報復攻撃に踏み切った。
約1カ月前に合意された米国とイランの暫定和平は、この1週間で事実上崩壊した。サウジアラビアやカタール、アラブ首長国連邦(UAE)などがエネルギー輸出の大半を依存するホルムズ海峡の航行を巡り、両国の対立は再び激化している。原油相場は15日も上昇し、北海ブレント原油は一時1バレル=85ドルを上回った。今週の上昇率は13%に達している。
トランプ氏は、米軍の攻撃によってイランのミサイルや無人機の攻撃能力が低下したため、イラン側が協議再開を望んでいるとの見方を改めて示した。FOXビジネスとのインタビューで「ここへ来る直前に、彼らが協議を望んでいるという連絡を受けた」としたうえで、「彼らはいつも会いたがっている」と述べた。
トランプ氏は14日夜に放映されたFOXニュースのインタビューでは「あすの夜は徹底的に攻撃する」と発言。さらに「その翌日の夜も徹底的に攻撃する。来週になれば、イランにとって状況はさらに厳しくなる。次は発電所を標的にするからだ。交渉の席に着かなければ、橋をすべて破壊する」と語っていた。
一方、イラン側は交渉再開を望んでいることを公には認めていない。さらに、イランがホルムズ海峡の通航を試みる船舶への攻撃を警告するなか、米国は一晩で2桁に上る数の船舶を支援したと明らかにした。また、米軍はホルムズ海峡でイランの海上輸送に対する封鎖措置を再開し、2隻を引き返させたとしている。
国際海事機関(IMO)のドミンゲス事務局長は15日、ブルームバーグ・ラジオのインタビューで、ホルムズ海峡は商船が航行するには依然として非常に危険な状況だとの認識を示した。6月の暫定合意以降、海運業界に対する警告としては最も強い内容となった。
米国とイランはともに、相手が合意条件に違反したと非難し合っている。暫定合意では、ホルムズ海峡で船舶の自由な航行をいつ認めるかについては曖昧な文言となっていた。
米軍による今回の攻撃は、イラン南部のレーダー施設やミサイル・無人機の拠点など、主に軍事目標を攻撃している。ただ、3月から4月上旬にかけて首都テヘランなど主要都市が絶え間ない攻撃にさらされた時期に比べると、空爆の規模ははるか小さい。
トランプ氏はイラン産原油に対する制裁の適用除外措置を打ち切り、海上封鎖を再開した上で、イランへの追加攻撃に踏み切った。
イランは譲歩する姿勢を見せていない。革命防衛隊は15日、米国が空爆とイランの港湾封鎖を停止するまで、ホルムズ海峡の封鎖を続けると表明した。国営プレスTVによると、革命防衛隊は「域内の石油・ガス輸出は、全ての国が利用できるか、それとも誰も利用できないかのどちらかだ」と述べた。

イランのガリバフ国会議長は、イランに利益がないのであれば、合意に「引き続き拘束される理由はない」と述べた。ただ、合意からの正式な離脱は表明しなかった。
米国では議会共和党が、物価上昇も招いた不人気な軍事作戦を支持する政治的リスクを抱えながらも、戦費拡大に向けた計画を進めている。
またトランプ政権は、米国内で原油や燃料、肥料の輸送を容易にしている海運規制の適用除外措置を延長する方向で検討を進めている。イランでの戦闘再燃により、供給混乱の長期化が懸念されているためだ。
欧州連合(EU)の航空安全当局は、中東上空を飛行する航空会社向けの警戒レベルを引き上げ、バーレーン、クウェート、カタール、アラブ首長国連邦(UAE)、オマーン湾上空の飛行を避けるよう注意を促した。
イラン政府によると、米軍の空爆により、この数日で民間人30人超が死亡した。またイラン軍は15日、南東部イランシャフルの兵舎がミサイル攻撃を受け、7人が死亡したと発表した。
トランプ氏は14日、ホルムズ海峡を通過する貨物輸送に20%の通航料を課す計画を撤回。湾岸地域の同盟国から取り下げを求められたことを受けたためだという。通航料の構想は、発表からわずか1日で方針転換となった。見込んでいた歳入は湾岸諸国による今後の対米直接投資で代替する考えを示した。ただ、投資額や参加する国については明らかにしていない。
一方、米軍はイランの港湾・沿岸地域との間を往来する船舶に対する封鎖を再開した。この措置はイランを強く反発させており、打撃を受けている同国経済をさらに悪化させる可能性がある。
原題:US Launches Fresh Strikes on Iran as Peril in Strait Deepens (1)、Trump Vows to Escalate Attacks Until Iran Relents on Hormuz (3)(抜粋)
(トランプ氏のFOXビジネスとのインタビュー内容などを追加し、全体を書き換えて更新します。更新前の記事で第4段落の日付を訂正済みです)
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