(ブルームバーグ):カリフォルニアを含む米12州は13日、米メディア大手パラマウント・スカイダンスによる同業ワーナー・ブラザース・ディスカバリー買収の差し止めを求めて提訴した。ハリウッドで1100億ドル(約17兆9000億円)規模のこの大型買収が実現すれば、視聴料金の上昇と映画・テレビ番組の選択肢減少につながると主張している。
カリフォルニア州の連邦裁判所に提起された反トラスト法(独占禁止法)訴訟では、この買収が映画配給とケーブルテレビチャンネルのライセンス供与を巡る競争を損なうと主張している。同州と、民主党の司法長官を擁する11州が訴訟に加わった。トランプ政権下の米司法省が6月に同案件を無条件で容認して以来、最大の法的障害となりそうだ。
州側は訴状で、「この合併後、全米規模で公開される劇場映画と一般的なケーブルチャンネルが米国で生み出す収入1ドル当たり、統合会社が4分の1超を手にすることになる」と主張。「要するに、この合併はメディアの巨大企業を生み出す」とした。
パラマウントは発表資料で、訴訟は「事実と法律の両面で誤っている」とし、法廷で取引の正当性を徹底的に主張すると表明した。
同社は「この合併により、プレミアムコンテンツ、劇場公開作品、クリエーティブ人材への投資をこれまで以上に積極的に実行できる企業が誕生する。こうした投資がこれほど重要な時期はない」と説明した。

ロサンゼルスの象徴であるハリウッドサインを背景に開かれた記者会見で、カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官は、消費者と自由市場を踏みにじる「裏取引」だと強く批判した。
ボンタ氏は「この合併は競争を消し去り、価格を押し上げ、コンテンツの質を低下させ、映画や番組の年間制作本数を減らす」と指摘。「反トラスト法の執行は、寡占支配に対する民主主義のチェック機能だ」と述べた。
今回の買収を巡っては、パラマウントを率いるデービッド・エリソン会長兼最高経営責任者(CEO)ら経営幹部がトランプ米大統領や政権当局者の支持を得ようとする中、ワシントンで激しいロビー活動の対象となってきた。米司法省は先月、同案件に異議を申し立てない方針を示し、取引は競争を損なう可能性が低いとの審査終了声明を出した。
この買収が成立すれば、米5大映画スタジオのうち二つが統合される。訴状によると、統合後の会社は広域公開される劇場映画市場の27%を支配する。州側はまた、ワーナー・ブラザースとパラマウントが、大規模な制作予算を投じて広域公開されるヒット見込み作品の30%超を支配することになると主張。合併後は、この市場の9割超を支配する企業が4社に集約される。買収で誕生する新会社と、ウォルト・ディズニー、ユニバーサル、ソニー・ピクチャーズだ。
訴状は、ケーブルテレビと衛星放送の事業者に販売されるテレビ番組市場にも悪影響が及ぶと主張している。ニュース、スポーツ、一般娯楽、子ども・家族向け、ライフスタイルを含む50超のチャンネルを抱える同市場2位と3位の事業者が統合され、視聴者数ベースで27%を握ることになるという。
パラマウントのデービッド・エリソン氏は、劇場公開向け映画を年間30本制作し、テレビ番組の制作本数も増やすと約束しているが、州側はこの約束には強制力がないと指摘した。訴状では、ワーナー・ブラザースが2023年と24年に公表した映画公開目標を達成できなかった点にも言及した。
今後のスケジュール
今回の訴訟により、パラマウントが9月末までに合併を完了させるとの見込みは後退する公算が大きい。9月末を過ぎると、同社は遅延に伴う手数料をワーナーの株主に支払い始める必要がある。
カリフォルニア州の報道官はブルームバーグへの文書で、各州は連邦裁判所が合併の適法性について判断を下すまで、パラマウントとワーナーに取引完了を見合わせるよう求めていると説明した。判断には数カ月かかる可能性がある。両社が同意しなければ、州側は判決が出るまで両社を別会社のまま維持するよう命じる裁判所命令を求める方針だ。
オレゴン州のダン・レイフィールド司法長官は先週、パラマウントに買収完了日の延期を強制するため州裁判所で法的手続きに着手していた。同州はパラマウントに対し、同社のロビー活動に関連する各種文書の提出を求めていた。米司法省による買収を容認する正式声明の作成にパラマウントが何らかの役割を果たしたかどうかに関する文書も含まれる。
オレゴン州は13日の連邦裁判所への訴状提出を受け、この申し立てを取り下げた。
パラマウントは、欧州の競争当局がこの買収について判断を示す見通しの7月22日より前に取引を完了させるつもりはないと公に説明している。同社は、州側の訴訟の一環として取引完了の延期に同意するかどうかについて、コメントの要請に直ちには応じなかった。
カリフォルニア州は裁判所への提出書類で、この案件をオークランドのアラセリ・マルティネス・オルギン判事に担当させるよう求めた。同判事は、今回の買収計画に異議を唱える民事訴訟1件を既に担当している。公民権・移民問題を扱う弁護士だった同判事は、バイデン前大統領に指名され、23年に判事に就任した。
各州はまた、法律事務所ミルバンクの訴訟チームを起用し、訴訟遂行の支援を受けている。同チームは13日に提出された裁判所文書の一部に署名した。
取引が完了すれば、オラクル共同創業者ラリー・エリソン氏の息子であるデービッド・エリソン氏が、CBSとCNNという二つの主要ニュースネットワークを率いる立場になる。統合会社はまた、パラマウント・プラス(Paramount+)とHBOマックスという大手ストリーミングサービス2社を支配する。パラマウントは長期にわたる入札合戦の末、ネットフリックスを退けて買収合意を勝ち取った。
買収計画には、連邦議会の民主党議員やハリウッド関係者の多くが強く反対している。俳優、監督、プロデューサー、脚本家らは、買収により雇用が減り、制作費が上昇し、視聴者の選択肢も狭まると主張している。
原題:Paramount-Warner Bros. Deal Challenged by California, States (3)(抜粋)
--取材協力:Jimmy Jenkins.もっと読むにはこちら bloomberg.com/jp
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